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最高裁判所第二小法廷 昭和59年(行ツ)344号 判決

名古屋市天白区原四丁目一五一六番地

上告人

水野天明

名古屋市瑞穂区瑞穂町藤塚一番地四

旧中川税務署長事務承継者

被上告人

昭和税務署長

西尾高明

被上告人

右代表者法務大臣

遠藤要

右両名指定代理人

菅谷久男

宇野力

梶川政美

右当事者間の名古屋高等裁判所昭和五六年(行コ)第五号所得税更正処分取消、慰籍料請求事件について、同裁判所が昭和五九年九月二七日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立があつた。よつて、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由第一点について

記録によれば、原審の訴訟手続に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

その余の上告理由について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係及び説示に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。右違法があることを前提とする所論違憲の主張は、その前提を欠く。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は原判決を正解せず、原審の認定しない事実若しくは独自の見解に基づいて原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。

よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 林藤之輔 裁判官 牧圭次 裁判官 藤島昭 裁判官 香川保一)

(昭和五九年行ツ第三四四号 上告人 水野天明)

上告人の上告理由

第一点

本件控訴判決は、民事訴訟法第一八七条第一、二、項同第三九五条第一項第五号の規定に反する。

即ち昭和五八年二月三日本件控訴を結審してその間本件に関与した佐藤寿一・玉田勝也裁判官が転任して不在にもかかわらず口頭弁論により従前の当事者の主張等を聞かずに可知鴻平裁判長は単独で判決の言渡しをなした違法がある。

第二点

被上告人らの憲法第一四条第一項、同一七条、同二九条、同七六条第三項、同九九条、国家公務員法第一〇〇条第一項、所得税法第二四三条、同法第三七条第一項民事訴訟法第三九五条第一項第六号に違背する判断の遺脱及び理由齟齬の違法がある。

一、昭和税務署係官市川修市は、昭和四六年八月頃その職務上調査によつて知り得た上告人の本件主張の売買価格五四〇万円を訴外宇佐美由夫に知らしめたもので、この事実は公務員の守秘義務違反がある、この事実については原審及び控訴審判決は理由を歪曲して認定されている。

被上告人の理由に対する主張及び右判決理由は共に右、市川修市の不法行為を歪曲隠蔽するため捏造し正当化する目的で右主張を認定したものである。

即ち判決説示によると「認めるに足る証拠がない」と極めて曖昧な認定で、上告人の主張並びに証拠については全く検討することなく一方的に被上告人の主張一部を採用したに過ぎない。

上告人の主張と、これに沿う証拠については、すでに被上告人らもこれを認め争わないところであるにもかかわらず右判決説示は右証拠(甲第一号証の二同一五証の一、二、同一六号証、同一七号証の一、二、三、)を何の理由も付せず証拠価値を否認して採用しなかつた矛盾がある。

原判決(控訴訂正、付加判決)六二枚目表までの第四の二の(一)、(二)、(三)を援用して次に、右歪曲隠蔽捏造事実について証明する。

(一) 「原告が〈ロ〉物件を他に売却した価額であることを宇佐美に告知したと認めるに足る証拠は存しない。」(六三枚目四行目より同六行目)と説示しているが、この項に説示されている「原告が〈ロ〉物件を他に売却した価額である」と殊更に「原告が」と、告知したかどうかについて本件は争つているものではない。しかし右判決のそれぞれの認定は、上告人が主張しない事項を恰も主張した事項の如く転稼して判断説示をなした事実隠蔽がある。

(二) 〈イ〉物件と〈ロ〉物件と無償による交換である事実を昭和税務署係官は、上告人に対する調査により知りながら訴外宇佐美に対し無償交換によるも譲渡所得があると、認定し修正申告を指導に名を借り強要したため、右宇佐美が無償交換によりその所得が無いから譲渡所得の課税対象とはならないと主張し結果的には修正申告に応じなかつたが、右昭和税務署係官市川修市は、右宇佐美が所有していた物件を無償で交換提供しても其の物件が五四〇万円で取引されている実例があるから、あなた(宇佐美)の譲渡価額は五四〇万円となるから修正申告が必要であると、右宇佐美は修正申告の指導を市川から受けたのである。この事実について、宇佐美より、上告人と、訴外加藤豊時(不動産取引業者)が税務上の相談を受けた。

右修正申告の指導の際に、右市川より甲第一五号証の一の資料により修正申告の指導を受けたという説明をするため宇佐美が右資料である甲第一号証の一を上告人に提示し修正申告について説明をなした、この書面に記載中「五四〇万」とあるのが右〈ロ〉物件の売買実例価額である旨の説明を受けた、この時右市川が上告人の〈ロ〉物件の譲渡価額を右事由により右宇佐美に五四〇万円であると知らせた事実を上告人は知つたのである。

このとき右宇佐美に対しては税務署の課税方法は誤りである、現実に売買をしたのは上告人であつて宇佐美は登記上は売買となつていても現実は交換であるから税務署は現実主義であるから課税はされない。若し上告人の譲渡価額五四〇万円に課税するとしたら税の二重課税となるから譲渡所得としては課税されないと右宇佐美を説得し宇佐美も右市川の違法を納得した。

この事実を知つた上告人は直ちに昭和税務署に赴き右市川修市に会見し、右宇佐美に対する譲渡所得の課税方法について釈明を求めたところ右宇佐美と同趣旨の釈明をしたので上告人が譲渡所得の課税方法について誤りある旨を主張した、このとき右市川では釈明不足であつたので上司である中村徹二が替つて釈明に当つた。右中村は上告人の主張を認め右宇佐美に対する譲渡所得の課税対象額について上告人の譲渡価額である五四〇万円は適用しないと了解した、依つて右宇佐美は右市川の指導による修正申告の必要は無くなつたと言うことである。即ち右市川は上告人の売買資料によりその事実を知りながら右宇佐美に譲渡所得の修正申告を求めた事実をもつてすれば、上告人の右売買資料を悪用して右宇佐美に対し不必要且つ不法な右修正申告の指導をなしたことになる。結果的に右市川の処為は上告人の譲渡所得の申告価額を取引の相手である右宇佐美に知らせる結果となつた右譲渡価額については右宇佐美に対する譲渡所得の取引実例の対象とは全くならないのである、この事実は前掲中村徹二の釈明で明らかである、このような右市川の行為は正当な課税指導でなく違法な指導であるから被上告人の主張及び判決の説示の如きは全くその正当性は存しない違法行為である。このようにして為された上告人の右譲渡所得申告額についての漏洩行為は明らかに守秘義務違反である。

(三) 右物件の交換により上告人の譲渡所得は交換提供の〈イ〉物件の買受け原価五〇〇万円〈ロ〉物件の売渡し価額五四〇万円で売買上の差額が四〇万円である。

この四〇万円より売買支払手数料二〇万円を差引いた、二〇万円が上告人の譲渡所得の対象金額であつて、実際の売価は五二〇万円である、右宇佐美に対する右上告人の売価は譲渡所得の対象金額とならないことは前掲の通りである。以上が守秘義務違反の経緯である。

(四) そこで右宇佐美に対する右譲渡所得の修正申告の必要が無くなつたが右譲渡所得の関係がないのに上告人の売買原価額を取引の相手方である宇佐美に知らしめた守秘義務違反の責任について明らかにすることと、上告人の納得できる善処をすることを中村徹二に申し入れたが全く放任して反答が無かつたので昭和税務署長竹田正礼(原判決では昭和税務署係官竹田とある)に対し、右市川の守秘義務違反に対し直接善処を求める要求をなしたところ、昭和四六年一〇月八日昭和税務署員の中村徹二(甲第一五号証の二参照)外一名が名古屋市昭和区曙町三丁目五番地の上告人の事務所に訪れ右市川の処為について文字通り平身低頭にて謝罪したので今後のこともあるから竹田正礼署長に書面で謝罪することを求めたが、これを拒否したので、甲第一七号証の三を右中村を提示してこのように前の署長も素直に謝罪して居るから誠意があるならばできないはずがない。書面により謝罪に応じないのは後日報復手段を考えるためその時の証拠隠滅の目的である旨申し添えた、しかし右中村及び昭和税務署長竹田正礼は上告人の申出には全く応じなかつた。右昭和税務署長竹田正礼が高橋務と交替し昭和四八年一一月七日昭和税務署員松井繁利は上告人の所得税調査に来た、このとき昭和四五、四六、四七年分の調査である旨申し述べ右各年分の所得税確定申告書原本を提示し、申告内容について釈明を上告人に求めたので不動産については、その売買契約書又はその写し(コピー)を提示し説明に及んだところ昭和四七年分の確定申告書には「営業不動産売買明細書」と題する書面が添付してあつた(甲第三号証)が昭和四五、四六年分については、それぞれ営業関係の明細書の添付がないので右明細書の処在を右松井に釈明を求めたが知らぬと言うので、甲第一号証の一、二、同二号証、同三号証を提示して、このように各年度について確定申告の際に同時に提出してあるから此のように収受印もあると説明して上告人の提出した営業明細書の処分について明らかにすることを求めたが、右松井は其の事実を明らかにすることを拒否した。そこで前掲市川修市の守秘義務違反について現在に至るも決着が付いていないからその報復のため調査に来たことが明白である旨右松井に申述べたところ右松井は、その事実について釈明もしなかつた。

乙第三七号証によると松井は昭和税務署の勤務は昭和四六年七月より同五〇年三月迄である、又中村徹二、市川修市とは同じ資産税部門であることも右乙第三七号証の記録より明らかである、さすれば右市川の守秘義務違反の発端は昭和四六年八月であるから、右松井は此の時すでに昭和税務署に在勤中であり右松井は同じ資産税部門の右中村、市川の為した守秘義務違反については当然知るところである、然し右松井が上告人に対し昭和四六年一一月七日調査に際し、右市川らの守秘義務違反について其の事実はないと主張したため上告人が、右違反行為について其の処置を明確にしない限り今後調査には応じないと申し向けた。

(五) 乙第二四号証の二の営業明細書については、すでに一部加筆があつたので確定申告書に添付した書類はすべて公文書となるからみだりに加筆すると申告書記載事項を毀損した違法行為である添付書類には一切加筆してはならない旨申し向け右各年分の営業明細書類の写し(コピー)を加筆用として右松井に渡した。この項について、乙第三七号証の松井の供述に不足がある、右各年分のコピーの受領が明白でない、乙第二四号証の二は、そのとき上告人が渡したものでなく、昭和四六年分所得税確定申告書に、のり付け添付した物で此の事実が隠蔽されている。乙第二四号証の二記載中「必要経費」の左端に「水野」の割印があり、乙第二四号証の一の裏「〈ホ〉」の欄の右端に「 」の割印がある事実で、右乙第二四号証の二は、右申告書の添付書類である事実を隠蔽している。このように上告人は、右松井の不法行為があつても調査には忍耐を持つて協力したもので被上告人らの主張の如く(昭和五〇年九月二九日付同年一一月七日付被告準備書面)上告人が非協力と誹謗されるいわれはない。

(六) そもそも右松井は調査に際して国税調査権があるから、此の身分証明書を提示すれば家宅捜索が出来るから資料を全部提示せよと強迫した、その資料については、家屋明渡しの訴訟記録、家屋明渡し請求方法について詳しく知りたいなど所得に直接関係の無い訴訟過程の事項について調査を求めたので、これを拒否したまでである。

右松井の家宅捜索の申し出に対し上告人は、これを妨害した事実はなく、このとき上告人は、松井に対し国税調査権と言う権力により家宅捜索をするならば、其の責任は負うべきだ、市川らのような守秘義務違反の証拠隠滅は裁判で明確にして載きますと言つて前掲営業関係の不動産売買について説明資料の提供後は、右松井の強迫的言動によりものわかれとなつた。

(七) 不動産所得の昭和四四年分以前については、すでに其の所得の生じない理由について、昭和税務署調査官はすでに了解ずみである。地代家賃統制令と借地借家法によつて家主、地主が其の賃料を抑圧されている社会状況でその利益となる所得が生ずる根拠が無い、若しあるとしたら根拠の釈明を求めたところ右松井は家賃収入金額の二〇パーセントが必要経費として認められる、借り主が会社、店舗の場合は、その必要経費は一〇パーセントである、会社の場合は住宅用より家賃が高いのが一般常識となつているからだと主張した。被上告人の従来の不動産所得の必要経費について、その解釈に著しい齟齬があつた。上告人主張の維持費、管理費の必要性については、右松井は、全く理解する意志はなく一切否定したものである。

(八) その結果は、甲第四、五、六号証による、昭和四五、四六、四七年分の各、所得税更正決定書が、昭和四九年一月二一日付で為された、右各年分の更正決定に対し異議の申し立てをなし、右松井に替つて其の部下である調査官佐藤昭三が昭和四九年二月に調査に来た、右佐藤は松井の如く権力行使の態度はなかつたが、台風被害の雑損控除については、その土地の町内会長か民生委員に証明してもらえば雑損の適用が受けられると説明されたので、甲第一四号証の証明書を提出し、不動産所得については前掲松井と同様その所得が生じないのは必要経費が過大である旨主張説明した。

昭和税務署長は、昭和四九年四月二七日付(甲第七、八、九号証)にて昭和四五、四六、四七年の各年分の所得税異議決定書により申立を棄却された、其の理由として右雑損については台風被害は発生していなかつた。不動産所得の必要経費については、各年分の固定資産税額の内、各年一二九三円のみ認められる。上告人主張の如き調査担当者の不当な行為は無かつたと事実を隠蔽した違法が明確となつた。右処分に対し昭和四九年九月二四日付(甲第一六号証)にて名古屋国税不服審判所国税審判官荒川清に対し審査請求趣意書を提出し昭和税務署員の守秘義務違反、不動産所得に対する必要経費の必要性と原処分の右必要経費認定についての不当を主張したところ昭和五〇年六月三日付(甲第一三号証)により右国税不服審判所長内村宏は上告人の審査請求を棄却する裁決を為したその主な理由は前掲守秘義務違反については、其の事実を否認隠蔽し、不動産所得については、新たにその賃借人を 造し、その必要経費については公租公課と減価償却費を計上しその算定の基礎として建物の価格を推定し減価償却費の算出を為した、不動産所得の必要経費についての右認定方法は、それぞれ「収入金額の二〇パーセント」、「固定資産税額の内一二九三円」、「公租公課と減価償却費」、とそのたびごとに主張認定を異にするところで、その根拠についての主張も説明もなく一方的に所得税法第三七条第一項の規定する本来の必要欠くべからざる建物の修理費、維持費についてその必要性を理由もなく否認した事実は明らかに報復の意図による故意が明白である。

若し昭和税務署長以下係員及び国税審判官以下係員に於いて、上告人主張の守秘義務違反及び報復意思が無いとするならば上告人の前掲説示した、箇々の違法行為並びに釈明について具体的にその認定方法及び理由を明確に表現すべきであるが、それらの事実は本件経緯に於いて見ることができない。

(九) 右調査方法及びその調査書によれば、乙第六、七、八、一一、一二、一三、三八、三九号証の内容を検討すると担当調査官荒川清民、川合普らは、真実を探究する目的ではなく昭和税務署長がなした所得税更正処分を正当化し守秘義務違反の証拠を隠滅する目的であつたことが伺える。即ち右調査内容については、上告人の主張し証明している事実についてその事実を知り得る供述を得ながら具体的な事実を探究せず不利益な供述は他の事実に転稼し捏造を目的とした誘導尋問によつて作成された調査聴取書である。

即ち台風被害について、甲第一三号証裁決書「次葉16」「ロ」の項で同証明書案にある建物について、「元来建築された事実がないものであるとか、同文書に記載されたような損害の発生した事実はない等、その内容を否定する発言を聞いた」と認定している、この事項について乙第八号証の調査によると四枚目一六行目右建物の存否と被害が質問されている。「今ある倉庫は昨年(昭和四八年)わたしが移転する前に元の位置より少し奥に建てたものです。」「その前は、小島さんの家の裏に、今の建物と同じくらいの大きさの車庫がありました。」右の質問で調査に於いて明確にすべき事実は、右「今ある建物」と「まえの建物」である。即ち「今ある建物」と言うのは台風によつて損壊した建物(倉庫)が使用不能になつたので新らしく従来の大きさと同じ倉庫を新築した(甲第五一号証)が「今ある建物」で「まえの建物」は(甲第四五号証の二)とを区別しその事実を明確にしないのは捏造意思が明白である。次に質問は「一昨年の秋の台風では被害はありましたか。」

このような質問で他人の被害状況を答えることは至難である、この場合は被害の物件を特定してその被害についての状況を質問すべきである、しかし右曖昧な質問についても「建物の古いトタン板の屋根が少しブカブカしたようだ。」と具体的にその被害の事実を述べている。

事実を探究する目的と意思があるとすれば右被害状況について事実調査をすればその事実は明白となる故を以つて、右、川合普は被害の建物は現在無くなつていて、今ある建物は昭和四七年九月の台風の後に建てられたものであつて右「今ある建物」が台風の被害を受けるはずがない事実を知り、乙第三九号証(本多幸太郎供述)二枚目一六行目「倉庫は四七年の台風のときには建つていなかつた、その後に建てたものだ。」この事実を聞き確認し、台風の被害を受けた建物の状況について調査しその事実を知りながら調査書に記載せず、あたかもその被害が無かつたと認定させる目的の資料を調書とした違法がある。又、「福田さんの借家の東側の外壁と前の借家の外壁が少しいたんだ。」と言う事実を右川合は、本多より聞いて知つていた、そこで右外壁についての被害について、右川合普は、福田に調査に赴き、その事実を確認しその被害調書と合せて賃貸借契約に関する聴取もてなして、その事実を知り証拠隠滅の為めその調書を提出せず右被害事実が無かつたと証拠を隠蔽したものである。又、右の如く調査の各部について探究することが、明白であるこのように社会正義のため事実を明確にしようとしない、被上告人らの調査官の所為は憲法第九七条、同九九条の趣旨に反する公務員の違法行為で最高裁判所の名誉と信頼正義の為め右所為について厳重に処断されるべきである。

(一〇) 本件訴訟に於ける被上告人ら及びその代理人らの事実隠蔽、証拠隠滅、虚偽と捏造及報復行為。

昭和税務署市川修市の為した守秘義務違反については、前掲の如く昭和税務署長高橋務、調査官松井繁利、佐藤昭三、名古屋国税不服審判所長内村宏、同審判官荒川清民、同調査官川合普らは、右市川の所為について擁護しその証拠を隠蔽し虚偽の事実を捏造した。

右違法を知りながら本件に及び被上告人らは右 造を擁護し重ねて違法を犯し、この違法を原審控訴審の判決関連裁判官らは、すべて目認し事実を否曲隠蔽し判決に重大な影響を及ぼす事由については、その判断をせず、又仮りに判断をしたとしても、その理由は著しい齟齬により習慣法、経験法則に違背する説示の違法がある。

昭和五〇年一一月七日付被告準備書面二枚目裏七行目より一〇行目の記載部分「なお、被告税務署長が、原告の右売買代金を五四〇万円であると知つたのは、右高木らに関する課税の税務調査における過程からであり」と事実を歪曲し「原告提出の昭和四五年分確定申告書には、原告主張の不動産売買明細書の添付はなく。」と証拠隠滅と事実隠蔽をなしその馬脚を露した。この事実は、前掲の通りであるが右「不動産売買明細書の添付」について右被告らは、その添付がないと主張している。

ちなみに当事者間に於いて成立の争わない甲第一号証の一と同号証の二について、その内容を検討すると昭和四五年分の所得税確定申告書提出に際し提出書類の「コピー」で原告の添付書類について昭和税務署長が右書類五枚を受領したことを証するため、その各葉に収受印が捺印されている、この事実により右書類の原本は共に昭和四六年三月一一日昭和税務署長に提出され且つ受領されている。この事実に当事者間で争いがない。

昭和税務署員市川修市らの調査は、同年八月であるからすでに、右甲第一号証の二の「売買明細書」はすでに市川の調査資料となつていた。然し被上告人らの前掲主張は「知つたのは高木らに関する課税の税務調査における」と主張している、右高木は不動産の買受け人であつて譲渡所得の対象とは全くならない事実からしても、右高木に対する調査の必要性がないのに、その調査資料の入手経路について原告の資料でないと事実を歪曲するための 弁に過ぎない。又右準備書面二枚目表一二行目「右〈ロ〉物件の価額について、右交換直後に原告が〈ロ〉物件を売買代金五四〇万円で。」と主張しているが被告昭和税務署長の調査段階に於いては、右〈イ〉〈ロ〉物件については、すべて不動産登記省略によるもので訴外宇佐美由美に対する、右〈イ〉〈ロ〉の物件については何れも売買登記による所有権移転であるから此れが交換であると認定することは困難である右宇佐美に対する交換調査とすれば甲第二六号証による交換契約書により其の交換事実が明らかになる訴外高木の売買については、其の内容について右宇佐美との関連を知ることができない、然し被告昭和税務署長は、右交換事実についてすでに現認するところである。

同準備書面七行目より「右当事者間で交換譲渡した。」と主張されている、此の場合甲第二六号証による交換当事者は宇佐美と加藤である、然し被告らは、甲第二六号証について不知と主張している事実によれば、右宇佐美の〈ロ〉物件が交換譲渡であると主張することができるかに疑問が発生する、右交換譲渡に立会したのは、原告(上告人)と右宇佐美、加藤の三者のみである。〈イ〉物件と〈ロ〉物件を交換して〈ロ〉物件を他へ売却した事実を知つているのは上告人と右宇佐美、加藤である宇佐美は〈ロ〉の売買価額に就いては知らない。昭和税務署に於いては、上告人の昭和四五年分の確定申告書の添付の売買明細書を見ることの出来る係員は資産税部門担当の右市川修市である。甲第一号証の二の買入物件欄の〈2〉(〈イ〉物件)と〈3〉(〈ロ〉物件)無償交換(昭和四五年一〇月五日)であることを知り此の物件が同二枚目売物件欄の買主高木喜代美外一名に売渡された事実が明白になる、此のように甲第一号証の二の資料により右〈イ〉物件と〈ロ〉物件の交換の経緯及び売買に就いて知ることは容易であるが其の外に右経緯を知ることは、不可能であるたとえ被告ら(被上告人)主張の高木らに対する課税の税務調査に於いても、右宇佐美の交換譲渡と其の経緯に就いては知ることはできない。此のように被上告人らは守秘義務違反の資料を高木から知り得たと事実を転稼して、其の馬脚を露わしたものである。又甲第一号証の二の不動産売買明細書について上告人より昭和四五年分所得税確定申告の際に其の原本を受領していながら其の原本の受領に就いて証拠がないと被上告人らは思料し、右確定申告のさい受領した右不動産明細書を隠蔽し今後其の受領が無いと主張すれば新らたに証拠は出て来ることはないから証拠隠蔽が可能であると相談し其の結果、同税務署係員松井繁利によつて所得税調査の資料として、上告人の右甲第一号証の二の資料について手持がないと言つて上告人からその資料のコピーを受取り、右甲第一号証の二の明細については、右松井繁利が昭和四八年一一月上告人に対する調査のさいに提供を受けたものである(乙第三七号証六枚目一五行より同七枚目一〇行迄参照)と言つている事実により、右松井は上告人を騙し、右甲第一号証の二の写し(コピー)を上告人より入手(乙第一九号証参照)し前掲確定申告の時には受け取つていないと提造したものである。右松井は本件の更正処分によりすでに訴訟になることは、十分承知していたもので、其のための証拠隠滅である。昭和五〇年九月二九日付被告準備書面(一)の「二、」の「2」の主張によると松井繁利の調査が強引で且つ横暴で、本件が行政訴訟になることを十分予知していた為め計画的な捏造であることが証明できる。

然し、甲第一号証の二の明細書五枚については、其れぞれ「昭和税務署46・3・11 収受」の捺印があり、乙第一九号証には右収受の捺印が無い、此のように被上告人らは、上告人提出の右資料より前掲守秘義務違反の資料を得ながら其の資料について上告人より提供を受けたことはないと主張して、其の馬脚を露わしたものである。右の如く被上告人ら代理人らは、事実を隠蔽し、右宇佐美に対しては、交換譲渡による違法な修正申告の指導を為し上告人より右〈ロ〉の物件の譲渡金額を援用した指導の違法性を追究され、其の課税が出来なくなり此れが報復の為め意図的に上告人の所得調査に名を借り必要外の調査と 造をなしたものである。

〈ロ〉物件の譲渡価額五四〇万円は、上告人の譲渡によるもので、すでに宇佐美が、上告人に譲渡したものを、上告人が再度譲渡した価額である。右宇佐美は、〈イ〉物件の買代金五〇〇万円の資金が無いから〈ロ〉物件を提供することにより〈イ〉物件を取得したい旨の申出があつたので上告人が不動産業者を通じて〈ロ〉物件を買い受けるために手付金を不動産業者に渡し売買契約をなした(甲第二五号証)、此の買主代理人とは宇佐美のことであるそこで宇佐美と加藤との間に於いて右〈イ〉と〈ロ〉の物件の交換契約をなしロ物件の所有権移転登記を右宇佐美になしたと言う経違である。いわゆる〈イ〉物件の売買代金五〇〇万円を上告人が一時立替えたと言うことである。此の立替取引完了後交換取引の契約書を作成し其の取引の形態を整えたもので、此の場合、右宇佐美は〈ロ〉物件の取得について不動産登記費用以外の支払は無いのであり、又取引金額については誤りはなく、売買形式にするならば〈ロ〉物件を宇佐美が五〇〇万円で上告人に売渡し、其の五〇〇万円で〈イ〉物件を宇佐美が取得した、依つて宇佐美は〈イ〉物件を五〇〇万円で譲渡したことになる。此の場合宇佐美は、右取引について売買交換手数料の支払が無いので、もし売買実例として譲渡価額を引用するとしたならば、其の価額は五〇〇万円である。この五〇〇万円については、右宇佐美も知るところで、右五〇〇万円を譲渡価額として譲渡所得計算明細書に記載して昭和税務署長に申告した(甲第一五号証の一)右の如く宇佐美の譲渡所得の申告は正当で前掲市川修市がなした、修正申告の指導は違法であることが証明される。右違法な修正申告に宇佐美が応じなかつた事実も正当性を証するものである。

右の如く、上告人が正義をもつて、右宇佐美に対する違法な修正申告の指導と守秘義務違反について、右宇佐美を援護し異議を申立て、税務署長始め担当前記係官らを追究した、此れがため本件昭和税務署係官らの報復意図の動機及び原因とならしめた。

(一一) 通常更正処分は昭和四五年分については、同四六年、同四六年分については、同四七年、同四七年分については同四八年にその調査をするのが普通である。

しかし本件の場合は、昭和四六年八月に守秘義務違反が発生し、その時の昭和税務署長は竹田正礼であつたが、その事件の解決を怠つた、理由として報復手段を計画し、右竹田が転任し後任に高橋務が同署長となつたので、即ち報復のため所得調査に名を借り不動産所得の捏造に着手したものである。上告人は従来不動産を所有しその一部は売買に供し、その一部は賃貸に供していたもので本件昭和四五、四六、四七年のみに限つて不動産所得が発生したものではない。右不動産所得に対する所得調査であるならば昭和四五年分については、同四六年に調査は可能である。右昭和四六年に調査をしなかつたのは、前掲守秘義務違反について同署長竹田は知つているためその調査に着手しなかつたものである。昭和四八年に右竹田正礼・中村徹二らが転任になつたので昭和税務署員松井繁利が同署長高橋務の許可により、上告人に対する昭和四五、四六、四七年分について調査をなした経緯によるもので、すでに前掲守秘義務違反については、右竹田、中村、市川、松井らにより計画的に証拠は隠蔽されたのである。

右松井繁利は、昭和四七年分確定申告添付の不動産売買明細書について、其の売買及び経費については、素直に上告人の説明を納得し、同四五年分については明細書の添付がないのでその提示を求め上告人が甲第一号証の二の控を見せると、此れをコピーしてくれと言つて、上告人よりその受領をした。この時上告人は、確定申告の際に此の書面はすでに提出してあると説明し右添付書類について松井に究明したが、此のとき松井は黙視した。このとき右松井が黙視したのは、右甲第一号証の二の書面を上告人より此の時初めて受領したものであると証拠付ける目的で、証拠捏造の第一段階であつた。

右松井は、調査に際し右昭和四五年分の不動産売買営業分についての明細書のコピーを受取り営業所得については争うところなく此の場合すべて納得した。又右各年分の営業所得についても確定申告と異なる処分は無かつたこの分については、異議申立及び不服審判の裁決も同様である。この事実は、右関連調査官らが甲第一号証の二関連の守秘義務違反の証拠関係にふれ、その事実の発覚するのを恐れた故である、しかし本訴に於いて被上告人ら代理人らは右守秘義務違反について証拠隠滅を計るため新たに不動産売買及び手数料について捏造を計画し違法に上告人の取引関係者に権力を用い捏造の資料を基に誘導尋問により事実に反する供述書を作成し真実については、総べて隠蔽して違法をなした、この事実は前掲の説明の通りである。右の如く被上告人らの主張及び此れに伴う各証拠により右事実は明白であるにもかゝわらず、原審及び控訴審判決に関与した裁判官らは、其の事実を知りながら判決に影響を及ぼす証拠については、此れを無視し、其の判断をせず、仮りに判断をしたとしても其の理由は極めて曖昧で著しい理由齟齬がある。

第三点

一、控訴判決書添付の別紙(被控訴人らの事実に反する主張違法な主張)について右判決は判決に影響を及ぼす事項について判断遺脱、理由齟齬の違法がある。

(民事訴訟法第三九五条第一項第六号、上告規則第三条第二項、憲法第九七条、同九九条同一四条違背)

右別紙は昭和五六年七月七日付控訴人準備書面を被上告人の主張の都合にあわせ省略したものであるから、「右準備書面」の原文を援用し判決の右判断の違法について次に主張する。

(一) 「第一、新たな主張」について。

被上告人らの違法な主張とは、従来の事実に反する主張又は、正当でない主張を指すもので、右主張は、原審及び控訴審に於ける主張をも含み且つ右所為に報復的意図が「仮にないとしても」上告人の名誉と信用が毀損されることは当然の理で、右違法な主張事実があれば慣習法、経験法則に照らし、何等証明を必要としない事案である。

(原判決、控訴判決理由第四の二、の(二)(三)についての判断遺脱理由齟齬についての主張)

右判決理由について「被上告人らの報復的意図及び正当化の意図について、本件全証拠によるも認めることはできない。」右説示は極めて曖昧で、上告人が前掲列記の通りであるにもかかわらず具体的に証拠の証明力について理由を遺脱し又報復意図については、「仮にないとしても」の予備的主張については、全くその判断を示さず、上告人の主張を完全に無視して一方的に被上告人らの国家権力の不法行為を擁護し、国民に対する社会主義を蹂躙したもので右判断遺脱は単なる事実誤認ではなく故意によるものである、故意の証拠の必要性については、裁判官らが真実に背を向け事実を探究しなかつた事実で証明十分である。

(二) 「1、名豊トヨペツトサービス株式会社手数料について。」

名豊トヨペツトサービス株式会社(以下名豊トヨペツトと言う)が上告人に支払つた小切手一〇万円を被上告人らは本件に及び俄かに上告人が売買手数料として一〇万円受領し右一〇万円の売買手数料収入があると主張した、此の一〇万円について、上告人が売買手数料を右名豊トヨペツトより受領する理由があるかについて被上告人らはその調査をなした、乙第二七、二八号証により売買手数料に該当しない事実を知つていて敢えて手数料収入と主張した事実により捏造の意思が明確である。この捏造は本件訴訟を正当化しようとした捏造に該当し、本件の発端である守秘義務違反の隠蔽と報復意図に波及するということである。若し被上告人代理人らに右捏造報復の意図がないとするならば、右一〇万円が、右乙第二七、二八号で売買登記関係に要する費用である事実は明白である。仮に名豊トヨペツトの「支払手数料勘定」と記帳されたとしても、其の目的が所有権移転登記の費用であることは、右乙第二七号証添付の二通の証書の写しで其の内容は明らかである。此れに加え乙第二八号証の小池菊雄の聴取によるも現金及び手土産の受領は明白である。依つて被上告人らは右調査によりその事実を知りながら売買手数料収入と捏造した。この事実を原審裁判官らは認めながら、右被上告人らの捏造又は違法な主張についての判断を遺脱した。

(三) 「2、車両取得価格の捏造について。」

被上告人井上昇は、上告人の車両取得価格を三五万五〇〇〇円と捏造するため乙第三六号証をトヨタカローラ名古屋株式会社に作成させ右価格を捏造した。一方甲第四四号証のトヨタパプリカ名古屋(株)の製作の註文書、領収書(二万二四三〇円)

領収書(三〇万円)自動車損害賠償責任保険証明書の成立を認めるところである。甲第四四号証の註文書によると車両価額四三万円、支払条件下取車両価額一三万円残金は現金支払三〇万円(昭和四三年一月二九日支払領収書)で被上告人は、乙第三七号証を提出しながらその捏造が暴露することを恐れ俄かに甲第四四号証を認めたもので、右乙第三七号証には車両を特定する車台番号の記載がない、更に車両の販売代金の支払期日販売会社名がそれぞれ相違している、此のように被上告人らは乙第三七号証を提出し、これと内容を異にする甲第四四号証を同時に認める不合理性があり自らその捏造を自認したものである、一方判決裁判官らは、右争いのない、甲第四四号証の証拠価値について、其の判断と理由を遺脱し、争いのある乙第三六号証の証拠採用をなした違法がある。右乙第三六号証の証拠採用について、上告人は右乙第三六号証に記載されているトヨタカローラ名古屋株式会社より車両購入の事実はなく、実際取引先は、甲第四四号証記載のトヨタパブリカ名古屋株式会社である。右乙第三六号証は井上昇が名古屋直税部長の印を利用して記名をせず、照会文と照会事項を記入して、右会社経理部長牧野軍二と共謀し捏造をなした、因つて右照会事項には販売車両を特定する車両番号又は車台番号の表示がない事実も明らかである。右の如く明らかな事実と証拠が存するにも拘らずその事実を認定せず虚構の証拠(乙第三六号証)による価額を認定し、上告人に不利益を与えた事実は判決関連裁判官らの故意と言わざるを得ない。

(四) 「3、電話料金の調査及び主張について。」

上告人の使用電話が七三一局七〇〇三番、同局七〇〇四番で同局七〇〇四番が平子進名義であつても其の使用が上告人であると認定した調査である、しかし被上告人らが名義上の問題について本件は争そわない被上告人の態度には上告人は同意するが、その使用の経緯について争うとするならば、右電話の加入時期についても明確にすべきである、被上告人らは右電話加入時期について、右七三一局七〇〇番平子進名義については昭和四六年二月一日以降であると訂正通知を名古屋国税局直税部長は、千種電話局長より昭和五二年九月一二日付「千話営第二〇一号」により受け、(甲第四八、四九号証)ながら乙第三三号証を訂正しないのは被上告人らは事実を知りながら、その主張に沿う証拠に誤りがあつたことを知つても訂正しないのは、其の事実を主張する目的の意思がなく上告人を陥れるための捏造である事実が証明できる。然し本件判決は、被上告人の右違法行為についてこれを認定せず本件弁論の趣旨及び全証拠によるも被上告人らに違法は無いと事実を隠蔽している違法が明白である。

(五) 「4、昭和四七年九月の台風被害についての違法な主張」

本件台風被害について、その起因は、同年九月であつて、その主な台風接近時期は同年九月一六日、同月二五日頃である、台風の被害発生は、その接近の前後及び通過後に於いて発生することは慣習法及び経験法則に照らし明白で敢て証明を必要としない事項である、しかし本件に於いては被上告人らは同年九月の台風接近は同月二五日以外に名古屋地方に接近した事実はないと捏造するため、その台風通過を同年九月二五日限定し乙第四〇号証を作成し同月一六日頃の台風接近については、その調査事実を隠蔽した。乙第四〇号証によるも同月二四日には、風速毎秒一一・二メートルを測定した事実がある。この風速はかなりな強風であることは当然伺える、しかし此の程度の強風では台風被害は発生しない旨認定している事実は、判決裁判官らは通常の風力及び風害について、其の常識が無と言うべきか疑われるところである、しかしその常識がありながら右風害についての事実に判断を加えなかつたのは明らかに事実隠蔽である。又甲第五六号証の記載によれば台風被害の訴訟であるが、上告人主張の昭和四七年九月一六日に於ける同町内(内山町三)の建物被害について、同日台風による被害事実を認定している。しかし本件訴訟に於いて、右九月一六日を含む同年九月には台風は無く、その被害もない旨認定している、右甲第五六号証の台風記載事項については、全く判断を遺脱している違法がある。

証人塚本正夫の証言についても甲第四六号証の一乃至四、甲第五二号証は台風被害のものではないと断定している然らば、右建築業塚本が為した家屋の修繕工事は何を起因する修繕であつたかについては全く判断はされず、右修繕工事を認めた責任に於いて右修繕工事が「何に」起因するから台風被害と認められないと理由を明確にすべきである。

建築業者である右塚本がその被害状況を見て台風被害であると断言できるのは経験法則によるもので、其の経験者の証言を採用せずに何を持つて証明できるかが問題である、よつて右修繕工事を必要とする原因について具体的に判決理由を明確にすべきである。右昭和四七年九月の台風被害については、乙第八号証、同第三九号証の川合普作成の調書にも其の被害事実は記載されているにも拘らず、被上告人代理人らは、右被害は無かつたと、事実隠蔽した。かかる行為は公正で国を代表する公務員の国家権威を毀損するもので、此れを擁護する判断をなした裁判官らも右国家権威と裁判所の威信を毀損した違法がある。

(六) 「5、辻村英吉、辻村明子との土地建物売買代金の捏造及び違法な主張について」

判決書別表七の1の〈5〉物件について昭和税務署長の更正処分及び不服審判の過程に於いては、当事者に於いて争いのないところである、然し本訴に及び被告らは俄かに上告人の買受け価額を四〇〇万円であつて申告価額五〇〇万円は過少申告であると主張した。即ち被上告人らの、右主張の買価四〇〇万円の主張自体が違法であるというものである。被上告人らは何故四〇〇万円の主張を俄かにする必要があるかが問題である。被上告人らは本件不動産賃貸所得について上告人が従来必要経費を主張しているのに対し此れを全面的に否認し必要経費について公租公課と減価償却費を主張した為、右被上告人らの主張する必要経費が判決で認められず、上告人の主張する維持管理費が認められた場合の予備的主張の必要性から新たな所得として右一〇〇万円を 造する目的である。右一〇〇万円を捏造した事実は控訴判決の認めるところであるが、この捏造の違法事実を認定したにも拘らず被上告人に対する慰藉料支払い義務についてその判断を遺脱している、控訴判決関連裁判官らの違法がある。

又、右不動産売買営業所得一〇〇万円の捏造経緯は、甲第一号証の二の「買入物件」記載事項「〈2〉」に於いて右物件の売主契約者が中区大須三丁目一の七二辻村英吉であることを知り原審の昭和五〇年九月二九日第二回口頭弁論の際原告より準備書面第一を受け取り、被上告人らの守秘義務違反を隠蔽する方法として、右物件の売買価額を違法に捏造することによつて、右守秘義務違反の反論と調査の正当性が主張できると確信して、右第二回口頭弁論終了後同日直ちに右辻村英吉の事務所に向いかねて用意した乙第二二号証添付の書面の内「譲渡所得についてのお尋ね」は井上昇らの偽造又は捏造による資料を合せて携帯し乙第二二号証聴取書記載の如く井上昇は辻村英吉より聴取した、右乙第二二号証添付の土地建物売買契約書等に右辻村英吉が右売買に関与した旨の記載は全く存しない。但し上告人提出の甲第一号証の二と松井繁利が調査に際し乙第一九号証によりそのときの調査内容により辻村英吉が売主代理人であることは、其のとき甲第二五号証の提示をなし、右松井は、右甲第二五号証の契約書の記載内容と上告人の申告内容を確認した、この事実は被上告人らの主張にも存するところである、井上昇は、乙第二二号証の調査に際し、右辻村英吉が右物件の売主契約者である事実を知つていたから右辻村英吉の事務所へ調査に赴くことができたのである、しかしながら井上昇は、右物件の甲第二五号証の契約者である事実については、全くその質問をしなかつた、一方的に売買金額四〇〇万円の契約の正当化するための質問内容である、右井上昇に真実を求める調査を目的とする正義感が存するならば、右主張の如く辻村英吉の右甲第二五号証による売買代金五〇〇万円についても、右辻村英吉に其の場で釈明を求めるべきである。しかし井上昇は右釈明を求めるべき重要事項について其の事実を隠蔽し辻村英吉に釈明の機会を与えず聴取書(乙第二二号証)を作成した事実は明白である、此のような右井上昇の行為を捏造と言うもので、憲法第九九条の趣旨に反する。又、右違法を容認した原審及び控訴判決関与の裁判官らも、憲法第九九条の趣旨に違背するものである。

(七) 「6、正当な賃貸借の無い林宇多子、福田商会らを賃借人と認定した違法について。」

林宇多子(旧性上垣内宇多子)は賃貸借契約が存しない事実を知りながら被上告人らは、あたかも賃貸借が存していた如く主張している。この事実は昭和四九年一〇月二五日付乙第一三号証、甲第四二号証の二により訴訟が提起されていた事実を調査し確認しながら故意に右林を賃借人と認定した違法と右書証の判断を遺脱した違法がある福田商会(有限会社)は右同様賃貸借契約が存しない事実を被上告人らは調査の結果確認していた其の事実は乙第三、四、五号証の書証を入手する前に福田商会の福田清記の事情聴取を為し福田商会の存在を知ることができた、ちなみに乙第三号証には「有限会社」の記載はないから乙第五号証の法人登記簿の謄本請求はできない右乙第三、四、五号証を以つて、右福田商会が賃借人である資料と断ずる証拠とは成り得ない、前掲の如く右乙第三、四、五号証を、被上告人らが入手に先だち福田商会及び福田清記の聴取書を作成した事実は明白である。

そこで右福田清記より家屋明渡請求訴訟中である事実及び台風被害について調査聴取したが、右聴取書の提出は被上告人らの従来の主張に反する聴取内容であるから其の提出をしないのである。此のような行為は事実隠蔽、証拠隠滅行為である。被上告人らが右福田清記に事情聴取をなした事実は、右福田清記より訴訟中に右主張があつたので上告人は昭和税務署の調査方法を知つたのである。

右林・福田らに其の賃借契約が無いことは、右証拠で明白であるが本件判決関連裁判官らは右事実につき判断を遺脱し、其のため理由も付していない。

被上告人らが賃借人と主張する判決書添付の、別表四の内昭和四五、四六、四七年中に裁判係争中の者は、(有)福田商会、野々山与一、三輪善吉、加藤房太郎、遠山秋雄である、此の内現在迄に家屋明渡し完了した者は、右(有)福田商会、野々山与一、三輪善吉である。現在家屋明渡し裁判経続中の者は加藤房太郎、遠山秋雄である右の如く其の賃借権が無い者をそそのかし賃借人と認定し、その所得の対象とした違法が正当とするならば訴外水野一男、水野芳郎についても現実に使用者である以上その賃料の支払に現在応じない事実を以つて、其の使用範囲の公租公課が必要経費とならない旨の認定は、右前者と後者の認定方法に著しい矛盾がある、右矛盾は判断の齟齬の違法である。前掲の如く被上告人らの主張は事実 造の違法である。又、右林宇多子に対する損害請求額一五〇万円に対し二七万円の弁済が和解成立し差引一二三万円の損失が右和解により確定したもので、右和解成立の昭和四七年一二月二五日に右損失も確定したものである。右損失については、不動産所得より控除されるか、又は雑損として控除されるかいずれにしても上告人の所得より控除されなければならない金額で、この事実を被上告人らは知りながら、右損失金額を所得控除として加えず、故意に此の事実を隠蔽し、判決裁判官らも、右事実を上告人の主張及び甲第四二号証の二乙第一二号証、乙第一三号証により、その事実を知りながら其の判断を遺脱又は理由齟齬をなした違法がある。

右訴訟関係と昭和税務署調査官松井繁利の不動産所得調査について訴訟関係書類提示拒否と守秘義務違反の経緯について。

前掲裁判係争に於いて其の相手方が被上告人主張の金員(賃料相当額として)を支払つたとしても此れらに対し明渡しを求めなければならない事情については第三者に説明する必要の無いことで、これは係争当事者のみの知るところである。ましてや税務署員に説明する必要のないことである、現在の社会情勢に於いて家屋明渡しは困難である。かかる事情は証明を要することなく知るところである。

即ち右家屋明渡しが当事者間に於いて容易に解決が出来ない故に裁判となる、裁判による強硬手段によるも、現実に金員の支払いのある住居人に立退きが必要かについて重大な疑問がある、前掲の相手方が其の主張の金員の支払によると上告人は多大の損失となる、現状に於いて借家人らの賃料に於いては、その維持管理費の拠出に多大の赤字となる、故に其の赤字の基となる居住者を優先して立退かせる必要があるこのように建物の立退問題は社会全体として深刻な事実である然るに右立退方法について右松井繁利は知りたいと言つてどのようにして立ち退かせたか其れが判る裁判の記録などを見せろと言つたので建物の立退方法は秘密に属するからその方法を他に利用される可能性もあり又他の立退問題で困つている人に上告人の方法を漏らす可能性もある、守秘義務が完全に保障される証明がない限り書類は見せられぬ、又、昭和税務署資産税係員市川修市の守秘義務違反についてもまだ解決されていない、右書類が見たいと言うなら右市川の守秘義務違反を解決してから言うべきだと右解決を求めたが、右松井は市川の守秘義務違反についてその事実はないと否定した。そこで上告人は右守秘義務違反について、その事実を隠蔽して所得税調査を遂行するならば、右守秘義務違反に対する報復行為と見做す旨を伝え、右松井はこれを了解した。このように前掲不動産所得の捏造と守秘義務違反の隠蔽と報復行為は密接な関係を持つものである。しかるに右関連については何等判断せず仮りに判断をしたとしても、その事実はないと右主張事実については、具体的に説示もなく判断を遺脱したものである。

(八) 「7、守秘義務違反と証拠隠滅の違法について。」

被上告人らの、昭和五〇年一一月七日付準備書面(二)の二枚目裏七行目より末尾迄「なお、被告税務署長が……詳述しているところである」を援用すると、乙第一九号証の「買入物件」「〈2〉、〈3〉」売物件欄五番目の物件より知つた此の書証は、乙第三七号証により松井繁利の上告人の成得調査の際に上告人より受け取つたものであり、上告人の主張する昭和四五年分の所得税確定申告書には、不動産売買明細書は添付されていなかつた旨主張している事実は明らかに右確定申告書に添付した、右明細書について、事実を隠蔽したことが伺える。其の証拠として甲第一号証の二「買入物件、売物件、売買手数料、計算書、営業経費の五葉である。」右乙第一九号証と、甲第一号証の二の相違は、甲第一号証の二については、其の各葉右下部分に昭和税務署46・3・11収受の○印がある、又甲第一号証の一についての表面下に、右と同様に○印がある。この事実は右確定申告書と同時に甲第一号証の二が昭和税務署に提出された事実が証明される。被上告人らも、右甲第一号証の一、二の成立は争わないところである。然しながら被上告人らは、昭和四五年分の確定申告の際には、甲第一号証の二の副本を受領していないと主張した事実は、被上告人らが甲第一号証の二について、前掲副本収受認印をして、提出した事実について全くその事実を忘却し馬脚を露わした主張である、昭和税務署に於いては、提出書類について、過去にその受領を隠蔽した事実は枚挙に暇がないその事実の一例は甲第一七号証の一、二、三、に於いて証明することができる、右甲第一号証の二を隠蔽した事実を上告人が知つたのは昭和四六年八月頃前掲市川修市の守秘義務違反事件のときである、依つて上告人はその後の昭和四六年分については、乙第二四号証の二は、乙第二四号証の一に添付したものである、その事実は、乙第二四号証の二には必要経費の記載部分の左端に「水野」の割印があり、乙第二四号証の一の裏面〈ホ〉の欄の右端に右割印の「水野」の部分の割印の印影が明確にある、此のように右甲第二四号証の一、二、はそれぞれ合体してあつたものである、又昭和四七年分の確定申告書には乙第三七号証添付と松井繁利の供述の如く右確定申告書には、営業不動産売買明細書は、のり付けし割印により合体し昭和税務署係員による隠蔽又は証拠隠滅防止策をなしたものである。即ち被上告人昭和税務署長以下係員らには、すでに前掲の如く守秘義務違反の証拠隠滅が明白で右違法に対し係争中であり、右昭和税務署係員らはその汚名挽回のため報復行為を計画したことは明らかである。

しかし昭和四四年以前に於いては不動産所得の必要経費について上告人の主張に昭和税務署長と争いがなかつたため、その不動産所得の申告はなかつた、然し被上告人税務署長は、俄かに報復のため不動産所得の捏造を計画し、本件の如く報復のための右各年分の更正処分をなした。

右の如く被上告人らの所為について一点一点詳細に探究すれば、守秘義務違反についての証拠隠滅報復手段の計画は明らかであるのに判決関与裁判官らは、右主張事実について判断に立ち入ろうともしなかつた違法がある。

(九) 「8、土地売買金額と収入金額について被控訴人らの違法な主張。」

名古屋市昭和区天白町大字平針字長田一〇〇〇番の三の売買について訴外加藤豊時が売主代理としてその売買をなした。右売買について、右加藤の差益額が五五万円ありこの差益額について被上告人らは、上告人の所得に算入すべきであると主張し、原審及び控訴判決は右主張を容認し右加藤の五五万円を仲介手数料と認定し「右加藤の供述は、一貫性を欠き信用出来ないと」誹謗している。

右違法について述べると、この経緯について、右物件の売買について甲第一八号証の一により上告人が訴外近藤正雄より同証表示の物件を一六五〇万円で買受けた、この売買について加藤豊時に二〇万円の売買手数料を上告人が支払つた、右売買価額について宅地建物取引業法に規定する通常の手数料は五五万五〇〇〇円である、然し上告人が、右加藤に支払つた手数料は其の二分の一以下の二〇万円(甲第一八号証の二)である事実は被上告人らも認めるところである。即ち右加藤に対し上告人は三五万五〇〇〇円の手数料の値引分が存すると言うことになる。この値引の代償として、右買入土地の分割分譲に際し一一〇坪分相当について右加藤の載量により売渡し価額を一任する特約を設定したものである。右物件の買受けは、昭和四五年二月九日契約、残金授受は、同年三月二日である、一方加藤豊時が訴外竹中一、外一名と売買契約をなしたのは同年二月二八日である、即ち上告人の右物件の買受け完了前に右加藤が其の一部を訴外竹中に売買契約をなしたため残金授受は、同年三月一〇日であつたのを同年三月二日に繰り上げ買受けを完了した。右物件を買受けに際しその分譲価額は坪当り三万五〇〇〇円より三万八〇〇〇円程度に価額協定を右加藤となした、結果右加藤は、右竹中に坪当り四万三〇〇〇円で売買契約をなし前掲協定価額の最高限度額三万八〇〇〇円が上告人の右加藤に対する仕切値となしたため、右加藤は坪当り五〇〇〇円の利益を得ることができた、依つて右加藤の売上坪数一一〇坪分の取引について五五万円の報酬金を同年五月六日支払つたことになる。甲第二一号証には「売買報酬金」とあるを判決説示に於いては、同五二枚目裏一〇行目、一一行目に「訴外加藤は、右物件の売却代金中五五万円を『仲介料』として原告から受領した」旨の供述部分が存し、同五三枚目表二行目に「高額な『仲介手数料』が真実支払われたかどうかの点は。」と説示されているが、右加藤の受領した五五万円について殊更に「仲介手数料と供述がある、」と説示されているが、右加藤の証人調書を詳細に検討するも右仲介料の供述は無く右供述に沿う部分は「報酬金を受領した」とある、即ち仲介料と報酬金の相違である。本件判決関与の裁判官らは、不動産取引についての従来及び新たな慣習法、経験法則について全く無如であるか、事実を歪曲隠蔽するため仲介料と認定し「仲介料」であるから高額であると理由付けたのである。依つて右加藤は、右五五万円の性質について売買の報酬であると明記している、この事実は甲第二一号証記載の通りである。

判決書添付別表七について

〈省略〉

右の如く上告人は、右物件の売価について坪当り三万五〇〇〇円より三万八〇〇〇円の間で取引する予定でその目的を達成したまでで、右加藤がたまたま予定を上廻る取引を成立させたと言うことであつて、上告人が右加藤の取引を容認し、其の結果坪当り四万三〇〇〇円の売買が成立したに過ぎない。右物件については、買方から売方全部を右加藤が処理して、上告人は何ら労せずして其の利を得たもので右加藤に対し相当の利益分があつたとしても、其れはすべて右加藤の裁量であつて、右加藤の契約方法について、其れが代理人であつても代表者であつても、其の時の都合で表現が変わると言うものである、例えば辻村英吉に対する取引についても宇佐美に対する交換取引である旨を相手方に説明する必要は全くないのである其のために売買契約条項には「売買物件の所有権を貴殿の指図人名義に致すことを約諾する」旨を明示するのが通例である。

右の如く不動産の売買取引が一般の販売業と全くその性質と取引方法を異にするところである。依つて右加藤がその供述に沿う報酬を得たとしても何ら違法とはならないと思われる、然し右加藤の五五万円の受領を否認した原判決によると右加藤は右物件の取引について、他の物件の取引価額より坪当り五〇〇〇円以上高く取引を成立させて、しかもその報酬又は仲介料が無料で其の売上げ分は総べて、上告人の利益となると認定している。

何故右加藤豊時が坪当り五〇〇〇円高く売買を完成させながら全くその報酬を受ける必要がないと認定したのか全く理解に苦しむところである、利益はばが多ければその報酬も多いと言うのが一般慣習であるが其の利益はばが多いから其の報酬がないと認定した右判決説示は、右加藤の供述に一貫性を欠く旨説示されているが、右判決自体が右加藤の報酬を全額否定し加藤の取引が無料であるとの認定自体に、その合理的な一貫性が存しないと言わざるを得ない著しい理由齟齬がある。

本件に於ける営業所得についての争点は、営業による収入金と、其の必要経費が争点であつて、上告人が主張する売買契約についてその契約内容に立ち入り代理契約か代表契約か仲介契約であるか誰が誰になしたかを争うものでなく、本来はその所得額、収入金額及び支払金額について其の事実を争うもので、右の如く、上告人の主張取引内容に介入は権力の濫用であり、又右内容に立ち入り其の支払金額が多額である理由で、その授受の事実を否定するが如きは全く不可思議な説示である。売買差額が多額であるから其の利益も多額になるという営業法則を無視した捏造判決である。

(一〇) 「9、営業に関する贈答費用について。」

被上告人らは贈答先が不明であるからという理由で右贈答費を否認している、此れに対し判決は「認めるに足りる証拠は存しない」と説示があるが、甲第三九号証により贈答であることは十分理解できるはずである、一般生活用品とはその種類により区別できるものである被上告人ら主張の送り先については、氏名と番地については、必要性がなく守秘義務上ふせてあるのみで贈答用である事実は証明できる、被上告人らの主張は従来 造のための否認であり否認のための否認であつてその否認を証明する証拠は全くない、右の如く被上告人らが否認している事実についてその否認を正当とする証拠についての説示及び具体的な証拠の指示が判決に遺脱されている違法がある。

(一一) 「10、不動産所得と必要経費についての被上告人らの違法な主張についての判断遺脱の違法。」

甲第七、八、九号証で被上告人らは不動産所得の必要経費について各年分の固定資産税額の内一二九三円が必要経費として認定される旨の認定がある。

右認定の根拠については、被上告人らはその釈明を拒否している事実、右違法な主張についての判断の遺脱違法がある。

(一二) 「11、不動産所得の必要経費について被上告人らの遍歴。」

本件所得税更正処分の調査について昭和税務署係員松井繁利は家賃収入の二〇パーセントが必要経費となると主張し不動産所得を算定した。(甲第四、五、六号証)次に異議申立に際し昭和税務署係員佐藤昭三はその調査を担当し昭和税務署長高橋務により前掲固定資産税の内、各年分につき一二九三円を必要経費とする認定をなした。此れに対し上告人は名古屋国税審判所長に対し審査請求をなし右税務署長の不動産所得の必要経費の認定について違法を訴えたところ、右審判官及び其の調査官らは、右必要経費について、新たに公租公課を主張し、その昭和四五年分九万二五四〇円、昭和四六年分一〇万五〇九二円、昭和四七年分一五万一二四五円と認定しているがその建物及び敷地についての特定はなく、右主張による公租公課に対する計算の根拠となる証拠を援用された事実もなく、かゝる被上告人らの違法な主張に対する判断も存せず、全く上告人の主張を無視した判断遺脱である。

又、減価償却費についても其の根拠については総べて推定により算定した事実が明白である。

本訴訟に及び被上告人らは、上告人の従来の主張に対し、公租公課と減価償却費以外は不動産所得の必要経費とはならないと主張し、その必要経費について被上告人らは一貫性がなく、合理性に欠く主張であり右違法についての判断も遺脱している。

所得税法第三七条一項の必要経費についての規定によると必要経費の費目を規定する別段の定めは無いにも拘らず上告人主張の再建築費、消耗維持管理費について税法上右のような費目を必要経費として認める規定は存しないと説示がある(五一枚目表一一行目より同裏二行目迄)が右説示は著しい理由不備で且つ所得税法第三七条一項の解釈を誤つた違法がある。被上告人らの右必要経費に対する主張を正当とするならば、其の理由を明確にしない違法がある、即ち前掲の必要経費として認められたものは、固定資産税の内一二九三円、公租公課、減価償却費の各費目について必要経費と認定する所得税法上の規定がどこに存するについては全く説示がない判断遺脱である。又上告人主張の必要経費を算入してはならない規定も存しない事実についてその判断が遺脱されている。

そもそも所得税法の規定によれば必要経費について、其の費目別に必要経費の分別をする規定はないのが事実であるが同時に上告人主張の経費及び費目を必要経費から除外する規定もない。この事実は法令解釈とその適用を誤つた違法がある。

(一三) 「12、不動産所得を地代家賃統制令、借地借家法の適用について。」

昭和二七年以前の建物及び其の敷地が地代家賃統制令の適用があることは周知のところである。本件不動産について各区役所家屋台帳により昭和二七年以前の建築建物は明白である、そこで右統制令に該当する建物についてその停止統制額に於ける利益が発生する根拠について、被上告人らは、右に対する釈明を拒否している、依つて、右釈明拒否についての判断と利益が生ずる根拠がどこにあるかについての具体的事実を挙げての判断を求める。

右判断については曖昧な理由でなく明確な判断と理由を求める。

(一四) 「13、必要経費の選択権についての違法。」

上告人の事業遂行の目的を以つてなした費用の支出について、一方的に「その必要がない」と言う理由又は「その支出があつたとしても事業の所得とつながらない」とか「その支出によつて所得が生じない費用。」は必要経費と認められないと言う主張である。上告人の場合不動産の売買について事前に物件の調査が必要であるにも拘らず被上告人らは「調査は高々登記簿の閲覧程度である。」と認定した違法についての判断遺脱がある。取引関連について、たまたまその利害関係が千葉県、東京都広島県に出張調査の必要があつた為め其の費用を要したもので、其の調査の内容について、被上告人昭和税務署長が介入し其の調査の要否について干渉する権限を有すかについての判断遺脱がある。

右調査について右介入干渉は憲法第十一条、同十三条の趣旨に違背する主張であつて、その調査の事実及び費用の支出の事実があれば右必要経費とされるべきである。右主張に反する被上告人らの主張は右憲法の趣旨を侵害する違法がある、又右調査の内容に介入する必要性が存するとする理由も明確でない。被上告人らの主張する営業内容をことごとく所得調査という名の基に上告人が其の内容を提示しなければならない税法上の規定はなく被上告人らの右調査の主張は、その権限の範囲を越えた違法な主張で個人の事業内容に介入した違法である。本件裁判に於いても右事業経営内に其の判断を介入することは許されない。即ち事業遂行の目的で支出された費用は必要経費となり結果的に其れぞれが事業の目的にならなかつたから費用経費とは成らないとする被上告人らの主張は違法であつて、右被上告人らの主張に沿う原審控訴判決も所得税法第三七条一項の規定の解釈を誤つた法令違反がある。

(一五) 「14、不動産所得の必要経費についての法令違反。」

被上告人らは右経費について所得税法第三七条の規定は適用されない旨主張し、右主張を容認した原審控訴判決は法令違反理由齟齬の違法がある、上告人が従来主張の右必要経費について、消耗維持費、再建築費の名称を付けたのは必要経費の分類を判り易くするためであつて所得税法第三七条の規定する不動産所得を継続的に得るためその業務遂行に必要な費用を言うものである。右不動産所得は物品販売又はサービス、建設業などの業種と比較すると長期的に事業が遂行されなければならない性格の事業である。其の為めには不動産賃貸継続に必要な費用を確保し、其の必要に応じ支出しなければ右賃貸を維持することはできないのである。原告昭和五一年八月二三日付準備書面及び控訴人昭和五六年一〇月三日付準備書面「八枚目裏七行目「五」より「一四枚目裏五行目迄」で主張の通りである。この事実について原判決は、五一枚目表一一行目「(3)原告主張の再建築及び消耗維持予蓄費税法上右のような費目を必要経費として認める規定は存しないから。」と説示されている、この説示は明らかに判決裁判官の事実隠蔽と被上告人らの国家権力擁護のための捏造である。「右費目を認める規定」の存しない事実は現行法では明らかである、しかし必要経費、特に不動産所得の場合、其の費目を限定した税法も存しない、況んや被上告人らの主張する「公租公課・減価償却費を不動産所得の必要経費としなければならない規定もない。賃借人又は、違法な借家人らに対する一般的な建物に関連の請求訴訟費も、不動産貸付を継続的に維持しようとするためには必然的に起こり得る事件で、此の費用は、右不動産を継続的に維持する為め欠くべからざる正当防衛行為で、右行為によつて要する費用は、必要経費に該当する事実について判断遺脱がある。

被控訴人昭和五六年八月一四日付準備書面(一)九枚目裏「(二)必要経費の認定について」所得税法第三七条一項の規定を援用して、修繕費、減価償却費、固定資産税、火災保険料を必要経費として認定し主張しているがこの事実は、右所得税第三七条一項の規定を見ても右費用を規定した事実は存しない、このように被上告人らは所得税法第三七条一項について右の如く矛盾した主張をなしている。又判決によるも、右被上告人らの右主張を容認し、前掲の如く上告人主張の必要経費については、上告人の「主張自体失当」であるとの認定は、右所得税法第三七条一項の条規に照らし法令違反の違法がありこの違法な判決理由こそ被上告人らの国家権力、特に被上告人代理人らの違法行為を擁護するため、事実を歪曲隠蔽した違法な判決で、右上告人主張に対する判決理由は著しい齟齬と仮りに判断をしたとしても曖昧な理由で、其の具体的な説示は見ることができない。

要するに、上告人の従来の主張とそれに合せた証拠を判決で否定するならば、「正当でない」「認められない」「主張自体失当である」「強い疑念を抱かざるをえない」「採用できない」「反する証拠はない」等の説示があるが其の総べて具体的な事実認定はなく、被上告人らの主張を採用した判決で、右被上告人らの主張については何んらの証拠は指示されていないすべて推認による一方的な判決理由である元来主張に対する立証責任は当事者に存すると言うべきであるが、本件の場合被上告人らは、国家権力である立場により何等の証拠がなくとも其の主張が証拠となりその主張を正当と認めるとした、本件判決こそ、法の下の平等を無視した判決で憲法第一四条の条理に違背する。

二、前掲(一)乃至(一五)に於て詳細に述べた如く、被上告人ら及び代理人らは、上告人主張の事実を認めず加えて証拠隠滅、事実の 造並に隠蔽をなした、これに対し上告人は、右被上告人らの違法を証明するために上告人の営業上外部に対する秘密文書の提示及び其の取引の経過の細部に亘り説明しなければその証明ができない立場となり止むなく右秘密部を裁判上提出させられたことは、上告人の本意に反するもので通常のプライバシーを侵害させられたものである。被上告人の代理人らは、他人の生活内容に介入することについて公権力により行動するため、他人の生活に介入することに自己満足をなす、若し相手が自己の意に従がわないときは、公権力によつて威圧し、本件の上告人の如く、右代理人らの公権力の違法に屈しないときは、其の報復手段を計画実行するという極めて卑劣な行為である。

この事実については、一部原審及び控訴判決も認めるところであるが、其れが報復である事実及び 造であることについてはその判断をせず、仮りに判断をしたとしても、その理由は「見るべき証拠がない」と説示されているのみで、前掲被上告人らの違法と捏造事実を認めながら、その認めた事実は、捏造と証拠隠滅とはならないと言う全く以て不可思議千万此の上なき矛盾した理由である。此の点に著しい疑問が発生する。しかし右裁判官らは右疑問の域を脱し国家権力の奴隷となり世界に類のない恒久平和と崇高な理想理念を基調とする憲法を有する国家と国民の名を恥ずかしめた最も憎むべき行為である。右について基本的人権の享有を守るため、上告人は正義によつてその権力の亡者を撃滅するため上告を為すもので上告裁判所裁判官らも正義により国家権力を悪用する違法を処断しなければならない。

三、上告人が宅地建物取引業の廃業に至つた事由は、前掲被上告人代理人ら及び被上告人昭和税務署長以下係員らが上告人の取引関係者を所得税確定申告によつて知り、そのすべてに対し税務調査の名目で再三誘導尋問をなし、右調査に快諾しないものは営業者であれば「お前のところも調査するぞ」と強硬に調査をなし事実を捏造した、そのため前掲不動産業者で取引の多かつた加藤豊時もその後は上告人との取引は全くなくなり他の不動産業者も税務署員の強硬介入を知り、上告人との取引は敬遠され全くその取引がなくなつたもので、すべて被上告人らの故意による報復行為によるものであることは慣習法、経験法則で明白である、依つて被上告人らは、その賠償責任を負う義務がある。このような経過についても判決は全く判断がされていない右の如く、被上告人らの所為は国家権力により上告人の如き正義者を弾圧する国家権力である税務署及び裁判所が日本国民より信頼されず、その期待が保もたれないのは、国家権力を行使する者にその正義がなく、その権力意識のみが実在する為めである。

本件に於いても正義と真実を貫くのは非常に至難であるその反面、権力による捏造証拠隠蔽は又非常に容易であるそこで、正義を守り国民の基本的人権と福祉を擁護するためにある国家権力が一変して、その正義を主張する上告人に対し国家権力の最大限を活用し、その調査の名目で調査対象者を威圧し故意に事実を歪曲して聴取書(乙第二一、二二、三七号証其の他)を作成し、その真実を知りながら捏造して主張している被上告人らと其の代理人ら及び右違法を擁護し事実を歪曲隠蔽した判決の理由齟齬は許されない。

第四点

原判決、控訴判決の判断遺脱理由齟齬の違法について。

一、昭和五六年一〇月三日付控訴人準備書面を援用主張する。但し控訴判決により上告人の主張を認めた部分を除き、右準備書面にて主張事実について控訴判決が、右主張にかかる判断を遺脱又は明確な理由を付せず一方的に何等証拠を示さず、被上告人らの主張を採用した違法については前掲第二、三点で主張の通りである。

二、被上告人昭和税務署調査官松井繁利が上告人の所得税調査に対して違法に家宅捜索をすると強迫した事実を被上告人らは隠蔽し、判決に於いて右事実につき具体的な理由を付せず理由齟齬と判断遺脱の違法がある。

昭和五〇年九月二九日付被告準備書面(一)の三枚目表「2不動産所得に関する調査の経緯」について同四枚目表七行目迄を援用すると、同項の三枚目表一二行目の「書類は、訴訟関係については弁護士に全部渡してあつて手元にない」と主張している事実から、上告人が右調査官の要求に応じられない旨を説明したにも拘らず、同三枚目裏二行目「そこで右係員は原告に対して再三関係書類の提示及び説明に応ずるよう説得に務めたが、原告はこれに応ぜず」と主張している如く、この「再三関係書類の提示を求めた」事実について被上告人らは自認するところである。しかしこの「再三の説得」についてでのような説得方法を為したかについては全く説明もない、即ちこのとき右調査官松井繁利は裁判の内容を知りたい、貸家の立退訴訟の裁判について知りたいから見せよと強引に要求し応じなければ家宅捜索をすると言いだした事実を隠蔽した、この事実は右被上告人らが自認の如く前掲「再三関係書類の提示……説得に務めた」この事実の内容である、又此の時右説得方法とて松井は身分証明書を提示し、「所得税法第二三四条による質問検査権があるから家宅捜索ができるのだ」と言つて上告人を強迫したのである。此の時右松井の言い分の家宅捜索を上告人は妨害したことはないが、其の言い分に対して拒否する旨を伝えたところ、右松井は黙視したので、上告人は、松井に向つて「あなたは威しで家宅捜索をすると言つたのか、威しや強迫で調査に来る税務署員には相手になれない。」と言つて、右松井の調査に其の後応じなかつたもので、被上告人らは一方的に調査に応じなかつた如く主張し、右松井の権力濫用についての違法を隠蔽した、右事実について判断を遺脱している違法がある。又このとき松井は市川修市らの守秘義務違反に使用された、甲第一号証の二、の原本についても、その受領がないと証拠隠滅をなし、上告人に対し、右原本の処置について釈明拒否した違法に対し上告人は右調査を拒否したにすぎずその原因は、右松井の調査態度にある。

前掲の如く、被上告人らは、上告人の右調査に対する言動を一部捏造し、その時の松井の言動に対しては、その事実を全く主張しない、被上告人らの態度に、その事実隠蔽の意思が存する、右被上告人らの右自認と、上告人の右主張を合せれば、右松井繁利の職権濫用の違法は明確で、この事実について判決は判断を遺脱し理由齟齬の違法がある。

三、原判決を訂正した控訴判決に於いて証人塚本正夫の証言により甲第四六号証の一乃至四、第五二号証により、原告の貸家に昭和四七年度に於いて一二万四九九〇円の修繕費を支出した事実を認め、この支出額を台風被害とは認められないと違法に認定したが、右台風被害と認めなければ、右修繕事実により、不動産所得の必要経費と認定されるべきであるが、其の両方についていずれの必要経費とも認めない事実は明らかに矛盾である。

被上告人らに於いては、被控訴人昭和五六年八月一四日付準備書面(一)九枚目裏三行目に於いて、不動産所得の必要経費について修繕費を認める主張があるにも拘らず右被上告人らの主張に沿う経費の支出分の貸家の修繕費についても必要経費と認めない右判決は、判決自体矛盾した説示で全くその理解に苦しむものである。

このような判決理由を理由齟齬の違法と言うものである。

四、守秘義務違反と損害賠償請求についての判断遺脱と理由齟齬について。原判決を訂正した控訴判決六二枚目表五行目「第四」について、上告人の主張を一部転稼し判断している、本項に於いては、本件更正処分の当否のみの判断にとらわれ、控訴審に於いて新らたな主張として守秘義務違反に加え、被上告人らの調査方法についての違法及び本件訴訟に於いて事実に反する、正当でない主張、又其の関連調査についても損害賠償の慰藉料の請求の対象とする旨主張をなしたが、右事実に反する主張及びその調査についての判断は完全に抹殺され、その判断の対象ともなつていない判断遺脱である。右判断遺脱の主原因は、国民の基本的人権の尊重についての、公務員の使命を忘却し徒らに被上告人税務署長の権力を擁護し優先させれため、其の更正処分等を正当化するための捏造に窮々とし、右判決に影響を及ぼす重要事項につき故意に判断を遺脱し理由齟齬を生ぜしめたものである。

その事実について述べると次の通りである

被上告人ら主張について正当でないと認められたもの

原判決を訂正された控訴判決について。

1 四四枚目表六行目「第一」について上告人の主張を認めた。被上告人らの主張は否決された。

2 五三枚目表五行目「(三)」の項に於いて被上告人税務署長主張の売買価額四〇〇万円は正当と認められない。

3 五四枚目裏一〇行目「〈イ〉」売買手数料収入」について、訴外名豊トヨペツトサービスから一〇万円の小切手受領は被上告人ら主張の売買手数料収入とはならないから被告税務署長の主張は正当でない。

4 五六枚目表九行目「(ウ)支払手数料」

訴外小池が、訴外加藤から受領した一万円は原告の支払い手数料とはならない。上告人の何等支払い事実のない一万円について被上告人らは、上告人が右一万円を支払つたと捏造した事実について、被上告人らの主張を正当と認めなかつた。

同年分の上告人主張の支払手数料二一万円について、被上告人らは、支払手数料は一万円であると主張を捏造し、上告人の主張を否認した事実は正当でない。

5 六〇枚目裏二行目と三行目の間に「(カ)自動車修理費」について、被上告人らは、「重量税(一万円)自動車損害賠償保険料(三万五四五〇円)自動車保険料(一万九九〇二円)」の上告人主張の支出を否認した違法について、被上告人らの右支出否認の主張は正当でないと採用されなかつた。

右の如く、被上告人らに違法な主張が認定されたにも拘らず、右違法に対する損害賠償、慰藉料請求の正当性についても認めながら、右違法事実についての損害賠償慰藉料請求については、その判断をせず、仮りに判決説示中「損害賠償請求は理由がなく」「一〇〇万円の慰藉料請求も理由がない」と言う極めて漠然とした理由で即ち「理由がない」と言うのが「理由」であると思われるが、右「理由がない」と言うのは、上告人の主張について「どの部分」が理由がなくなるのかを具体的且つ明確に説示すべきであつて、右の如く「理由がない」と言う理由は民事訴訟法第三九五条一項六号の「判決に理由を附せず」に該当する違法である。仮りに右「理由がない」と言う理由であつたとしても、前1、2、3、4、5、の認定によれば判決四四枚目表六行目「第一」より四五枚目表一一行目迄の認定に沿うものであつて、右、「理由がない」と言う理由は右事実認定によると理由齟齬に該当する、いずれにしても原判決は違法である。守秘義務違反については、前掲第二点一、(一)、(二)、(三)、(四)、第三点一、(六)、(八)、にて詳細の通りであるから右各項を援用する。又被上告人ら守秘義務違反と、その証拠隠滅、違法調査による所得の 造事実から伺えば、被上告人らの代理人及び訴訟関係者に於いて報復的意図があつたことは容易に推認できる尤も被上告人である人格を有しない国、昭和税務署長が、右の如く違法ができる筈もなく違法をなす者は、右権力社会に位置する「人」で其の権力の濫用は許されない所為である。

五、原判決六二枚目裏四行目より六三枚目表六行目迄の説示について理由齟齬の違法がある。

上告人と訴外加藤豊時、同宇佐美由夫立会で〈イ〉と〈ロ〉の物件を交換契約をなし宇佐美は〈イ〉の物件を取得し、〈ロ〉の物件を加藤を通じて上告人が取得した、此の事実は右三者で納得のうえ行なわれた。

そこで昭和税務署員市川修市が〈ロ〉の物件の売買実例が五四〇万円であると告知した事実を以つて、上告人の取引価額であることは即断できることである。此の場合「原告が」と但し書きを付けなくても〈ロ〉の物件の売主が「原告(上告人)」であることは否定することができない、依つて上告人の主張は右〈ロ〉の物件の価額を右宇佐美に告知した事実を以つて守秘義務違反であると言うもので、原判決は詭弁をもつて原告が〈ロ〉物件を売却したかどうかを告知した事実がないとしている、全く争点を転稼した詭弁と言わぢるを得ない。

即ち〈ロ〉物件を上告人が売却した事実はすでに宇佐美は承知しているところである、そこで〈ロ〉物件の売買取引価額が五四〇万円であると告知されれば、上告人以外に売買を為す者は他に居ないことは当然であつて、右判決説示の如く詭弁をもつて表現方法を転稼すること及び、右詭弁を正当と容認した原判決に著しい違法がある。

ちなみに昭和税務署係員が、宇佐美になした修正申告の指導は実質的に根拠はなく、右五四〇万円の指導には応じなかつたものである。右修正申告に名を借りて権力をもつて威圧し、違法な修正申告を宇佐美に強要した事実が伺える。よつて右宇佐美に対する修正申告指導の失敗に対する報復手段として、十分報復方法を捏造して昭和四八年一二月に松井繁利をもつて其の捏造と証拠隠滅行動が開始されたものである。

第五点

原判決を訂正した控訴判決について、その認定部分の判断の遺脱、理由齟齬について、前第一点乃至第四点で主張以外の部分についての主張。

1 四七枚目裏に於いて昭和四六年、同四七年において玉置の保証金二〇万円について其の一割相当額の二万円を所得に算入する旨の判示があるが、乙第四八号証により昭和四八年八月に「保証金の内一〇万円~一二万円を返済してもらつた」との供述がある如く右年度に四万円を所得に算入する根拠はないのである。秋田とは、その契約内容を異にするものであつて、玉置の場合、玉置六郎が賃借人で其の使用者は斉藤トメであつて斉藤トメが営業用に使用していたもので、その明渡し時に損害金として八万円を差引き返還したものである。この事実は乙第四八号証の玉置みよ子の供述で明らかであるが、右事由についての判断遺脱と理由齟齬がある。

2 四八枚目表三行目と四行目に加えた部分について。

別表一〇の(1)(8)と(5)(6)の公租公課を「証拠はない」と否認しているが、乙第四一号証添付の図面についても別表(5)、(6)、の土地に別表五、の7、9、10、11、の建物がどのような配列又は位置関係で存在しているか、右図面では全く其の記載がなく証人渡辺隆夫の証言によるも、右建物の位置関係を明確に表現する供述は存しない。又、別表一〇の(1)の土地に、同(8)、(9)の建物がどのような位置関係にあり其の使用方法について、又甲第五七号証水野芳郎の使用範囲については、右渡辺隆夫証言によると明確な証言がない。此のようにあいまいな証拠を証拠とした違法、即ち全く具体的に援用証拠の指示もない理由齟齬で判断を遺脱したものである。

又別表一〇の(5)と(6)の土地の三分の一の部分を無償で使用している証拠の提示もない、漠然と水野一男が(5)の土地を含む三分の一と言う表現は、その証明力に欠けるもので、現実には、右(5)の土地は秋田寿男の使用である。右(6)の土地上に水野一男の使用建物を除く、建物別表五の7、9、10、11、の各棟が存するが其の位置関係についても明確に証明されていない。現実に、被上告人らはその不動産について主張しながら、其の所在について明確にできない主張自体に、主張の捏造があり、此れを容認した判決理由も極めて曖昧である。要するに、全く事実を把握しない判決の事実認定で、判決と言う名の公権力によつて、正義はたやすく齟齬される事実を、国民に知らしめ且つ権力に伝かせるため及び憲法第一四条を無視し権力優先を誇示した判決で公権力の前には具体的な使用範囲と其の状況については明確にしなくても被上告人税務署長が推認することにより右範囲は認定できると言う趣旨で、曖昧な判決理由で判断遺脱となる違法がある。

3 四九枚目表一一行目、同(3)、(12)、の公租公課については、昭和四七年分の、一二分の二を必要経費から除外する認定をなした違法について、甲第五四、五五、五六号証により固定資産税、都市計画税は昭和四七年度分より買主負担の売買条件で甲第五四、五五証は、其の領収書である。右事実及び証拠について、判断に理由を付せず、仮りに理由を付したとしても他に転稼した理由齟齬である。

4 四九枚目裏三行目と四行目の間に加える項

「(控訴人は同表(6)の土地については、水野一男が固定資産税と都市計画税相当額を支払つている……である。)」

右については(6)の土地の右租税相当額を支払つていると上告人は主張した事実はない。水野一男の支払つたのは同人が使用している建物についての公租公課を支払つていると言うもので、従来の主張を転稼したもので、本表には水野一男の使用建物については上告人は計上した事実はない。謂ゆる渡辺隆夫は右水野一男の使用建物が、別表一〇の(5)、(6)のどの位置にあるかについての調査もせず、専ら右渡辺は、その捏造のみに因われ重要事項の調査を怠つたと言うもので本件判決関与裁判官らは事実を追究することなく、被上告人らの権力を擁護し正当化するための捏造判断で正義のための判断を遺脱し理由齟齬の違法をなした。

5 五〇枚目表二行目「(2)減価償却費」の採用について。

従来上告人は、不動産所得の必要経費について減価償却費を主張した事実はない、然し被上告人らは本訴に及び俄かに右減価償却費を 造しているが、その減価償却費を必要経費としなければならない目的も法的根拠も証明されていない、当事者間に於いて争点となつた事実について判断に理由を付せず、五一枚目表一〇行目「以上の説示に反する原告の主張は、採用できない。」とあるが、元来右減価償却費を必要経費に経上すべきであると主張したのは、被上告人らが本件訴訟に於いて、上告人主張の維持管理費を隠蔽するための提造経費で、不動産所得を得るために右減価償却費を必要とする理由は全く存しないのである即ち減価償却をすると言うことは不動産所得となる不動産が減価してなくなることを認めることで、不動産所得が将来に向つて継続できないことを自認することになりその経営原則に反するということになり被上告人らの主張に従つたとすれば将来不動産所得の自滅を招くこと必然である従つて被上告人らの主張は故意に上告人の経営内容に干渉し違法な課税をなし、上告人の不動産所得の自滅を計つたもので、この事実は、前掲上告人の宅地建物取引業を違法な調査により、上告人の信用を失堕させこれが取引を皆無に追い込み廃業の止むなきに至らしめたと同様で、右の如く被上告人らの自滅を招く主張と、上告人の主張する継続的経営のための必要経費についての因果関係について明確な判断と、その理由を示されるべきである。

6 五一枚目表一一行目「(3)原告の再建築及び消耗維持予蓄費についての「主張自体失当」とした違法

右失当の理由は「右のような費目を必要経費として認める規定は存しない」と言う何らの根拠のない極めて 昧な説示である。ちなみに所得税法第三七条一項は必要経費についての規定であるが、右説示の如く費目についての規定がない事実は認められないが、同条項に於いて「償却費」の項目は認められるが被上告人ら主張の「公租公課、減価償却費」の費目を必要経費とする規定は存しない、此のように特定の費目の規定がないのに、被上告人らの右主張のみを容認しその費目を必要経費として認めた理由は明確でない、要するに本件判決裁判官らは、被上告人らの主張を一方的に何等の理由根拠もなく採用し、上告人の主張については何の理由もなく一方的に認めないか、又は故意に権力擁護のため被上告人らの主張を採用せざるを得なかつたと解される違法がある。右上告人主張の必要経費については昭和五一年八月二三日付原告準備書面記載の通りである。

7 五一枚目裏三行目「(4)昭和四七年に於ける林宇多子に対する訴訟費用について」

右林宇多子は、被上告人らが認める借家人で、別表四に記載の賃借人である。上告人は、其の居住は認めて賃借人とは認めないため提訴されたもので損害金について支払を求めた訴訟である。右林宇多子の和解(甲第四二号証の二)は昭和四七年一二月二五日成立、同年分として内藤三郎弁護士に報酬一〇万円を支払つたもので、右訴訟が不動産所得を継続的に得るためには必要な手段であつて、そのための費用で、この訴訟開始について昭和四六年分に、右事件着手金として、右弁護士に一〇万円を支払つたものである。このような費用を必要経費と言うのは当然で右費用について判決説示は「所得税法第三七条一項にいう必要経費に該当しない」と認定しているが、このような認定説示は全く理由を付せず、同法の適用を誤つた法令違反である。

8 五二枚目表七行目「(二)の項で別表七の(1)の物件」についての判断遺脱理由齟齬の違法がある。

右物件に対する取引方法について判決裁判官らは、自己の不動産売買取引として限られた範囲の取引方法についてのみ知識が存しない故に、その取引方法は売・買・仲介の三種類の知識以外には、その取引は無効であるか、右三点に限定すること以外にその知識がないと言うことが容易に推認できる。

民法第五五五条の効力について口頭にての契約の存すること、代金の受け渡しが無くても右売買が成立することについては、代金の支払いがなければ右裁判官らは取引が成立しないと断定した考え方である、要するに不動産の売買に全く経験がないために自己の見聞の限度内に於いてのみ、売買取引が成立するとの認識より発想された思案である。要するに右売買方式によれば、(1)の物件が上告人の所有であると判定されている、又上告人が売主であると認定されている。裁判官らは、所有者と売主が同一でなければならないと言う観点であるが実際は裁判官らは本件説示に於いて、前者で所有と表現し、後者では、売主と表現している此のような 昧な表現により事実を歪曲隠蔽している意思明白である。そこで右(1)の物件を加藤が竹中と売買契約をなした、昭和四五年二月二八日(乙第二一号証)に於いては。上告人は訴外近藤正雄と甲第一八号証の一により右(1)の物件の売買契約を同年二月九日為した直後で完全に売買が完了した状態ではなかつたが、右(1)の土地を分割して分譲計画を上告人は、右加藤と検討中であり、分譲価額は、その買入値から見て坪当り三万五〇〇〇円以上とする相談を加藤になしたところ、加藤は一一〇坪ぐらいまかせてほしいと言う申し出があつたので、右一一〇坪を限度として右加藤に口頭でまかせたものでこの場合「まかせた」と言うのは口頭で売つたと言うことで、この場合加藤が売買代金を支払らわなくても、右加藤との売買は成立していると確信するものである。ちなみに右加藤に対し上告人が契約書が無い当事者の口頭であるから右一一〇坪の売買について上告人が一方的に破棄した場合右加藤の立場はどうなるか、仮に其の場は右破棄が成立したとしても、上告人はそれにより加藤に対する信頼関係は無くなり以後の取引については、全く信用は失堕すること明白である。上告人と右加藤とは互に信頼関係により取引が継続されて来たもので、右(1)の物件についても加藤豊時名義で竹中一、外一名と売買契約を右加藤がなし、この場合売主欄に右加藤が「代表者」と記入した事実をもつて被上告人ら及び裁判官らは難詰しているが、「代表者」については誰を代表者するかについての詰問は意味がないと供述している右加藤は「代表者」については「名刺に代表者と書いてあるからそれで」と説明しているが、(昭和五三年五年二六日証人加藤豊時速記録六枚目裏より七枚目表記載)土地の売買についても、一般売買についても其の取引慣習があつて、相互の信頼関係が第一原則である、その信頼関係があればその取引は継続されその信頼を毀損すれば直ちに取引は阻害されその営業は継続することができなくなるのが現実である。

五二枚目一行目「その時作成された売買契約書……これは便宜形式上……足りる証拠はない。」と説示されているが、この買主竹中一は右(1)の物件が取得できることを目的とし、その契約段階については、何等関心のないところである。これは右竹中一と加藤豊時の信頼関係にあるもので登記上の名義及び所有関係については、右竹中一は全く無関係で其の物件の取得に最大目的が集約されていると言うことである、従つて前記判決説示の契約書が便宜上のものである事実は上告人は争わないところであるが、その解釈には異議がある。取引業者間に於いては登記省略による売買は常識的であつて、仮に登記をなしたとしても、それが売買予約の仮登記又は所有権移転請求権の仮登記、右の予約仮登記等所有権移転の本登記をしなくとも其の方法は形式便宜上いくらでもある。右加藤と上告人の間に於いて売買の成立は其の都度金銭の授受が無くとも成立すると言うもので、其れに対する書面の必要は全く存しない、唯利益分配額について後日税務署に申告する際に、其の金額を忘れると都度の悪くなる事態が発生するから領収書を作成するか又はそれに類する書類を作成する程度でいずれもその書類を作つたことにより、利益配分が変更されるわけではない事実から勘案すればまさに便宜形式上の物と言わざるを得ない、通常多額の取引について、其の信頼を受けた事実のない被上告人代理人ら及び本件裁判官らには全く理解できないか、又は 造の為敢えて理解しないかである。要するに右(1)の物件取引は、上告人の仕切値四一八万円に対し四七三万円で竹中一外一名に売却して差益を五五万円得たと言うことで、此れは、同表(2)、(3)、(4)の売買価格より坪当り五〇〇〇円以上売り上げた為め、右(2)、(3)、(4)の物件は売買手数料であつた、然し(1)の物件については、右加藤が仕切値より一〇パーセント以上売上げたため宅地建物取引業の報酬規定に反する憂いがあるため売買による契約書が作成され加藤は、竹中に対し売買を完了したものである。甲第二一号証は、右竹中よりの入金分について加藤からの支払があつたので前掲加藤の契約分について後日の為め領収書を受領したもので、右五五万円の所得について加藤が昭和四五年分の所得税申告に加えたかどうかについては、上告人の関知するところでない。別表七の(3)の物件は、坪当り三万八〇〇〇円で総額三八〇万円の売買手数料を同表3の(8)に於いて一三万二〇〇〇円支払つた事実を認定しながら(1)の物件については坪当り四万三〇〇〇円で(3)の物件より坪当り五〇〇〇円高く売買しその差額が五五万円であるのに右加藤は何等利益又は収益がないとの判断には社会慣習によるも不思議な認定方法である。仮りに右五五万円が他に比較して価額が過大で虚偽であるから、右五五万円の収益が存しない、依つて右加藤の報酬も存しない論理であるなら理解される。しかし本件の判断は、その利益収入が過大であるがため仲介手数料も払われないと言う慣習法、経験法則に著しく違反し且つ理由齟齬がある。

9 五三枚目表五行目改正された(三)について上告人の買受価額が五〇〇万円であるとした認定は同意するが、一〇〇万円について仲介者が差引いたとの認定は誰が差引いたかの特定が為されず曖昧な理由で事実を明確にしない違法がある。

10 五三枚目表五行目の改正された(三)の次に加えられた、「(四)次に必要経費の主張について判断する……」について。

〈イ〉 別表一〇の(4)の土地は、甲第四五号証の一の建物がありこの建物が倉庫兼作業場として使用されていたことは、原審昭和五三年五月二六日証人塚本正夫速記録四枚目表一〇行目「甲第四五号証の一と二を示す」「この写真の建物は作業兼材木置場に使われていました」と証言がある事実について判断を遺脱している違法がある。

〈ロ〉 同表(7)の土地は上告人名義の土地でこれが使用目的が建売用地で上告人が宅地建物取引業をなし、その事業の一環として建売行為をすることは、右取引業の内容に於いて免許されている業務であつて、上告人が右宅地建物取引業免許を取得している事実をもつてその建売用地を確保することは当然の理で、この事実を被上告人及び本件判決関与裁判官らは右免許を知りながら否認し其の判断を遺脱した違法がある。宅地建物取引業として、その許された業務の最大限に事業設備をなした事実特に宅地造成設備については、その直接の仕事の有無とはかゝわりのないところである。

〈ハ〉 同表(9)の建物については未登記建物で上告人名義である上告人の宅地建物取引業免許申請については、右(9)の建物(甲第五〇号証の一五)を添付し営業用の事務所として免許を取得している事実をもつて証明十分である。右事実について判断が遺脱されている。

〈ニ〉 同表一〇の(1)の土地(曙町)(8)の建物(曙町)の一部が事業用の事務所及び車庫として使用されていた事実を判決で否認した違法がある。

昭和五四年一月二七日付原告準備書面五枚目表二行目「六」に於いて右(1)・(8)の各年分の事業用に使用されている部分は区分し主張している、同書添付の「訂正別表Ⅰ」に表示されている通りである。右(1)の土地に営業用事務所と車庫が存する事は、被上告人らも争わない事実である。依つて事業用として固定資産税と都市計画税額を必要経費として算入する金額は同書別表(6)に表記の通りでその合計額は昭和四五年分四万二四四三四円、同四六年分五万二三〇九円、同四七年分六万三二九四円である右事実に対する判断を遺脱した違法がある。

11 五三枚目表五行目改正された(三)の次に加えられた、

「(五)よつて同年度の控訴人の営業所得金額より一〇〇万円を減じた一四三万五四九二円が正当と認められる。」と説示があるが前掲事由により右認定は違法である。

12 五七枚目表八行目後に加えられる。

「(エ)必要経費」について採用しなかつた違法がある。

前「10、の〈イ〉、〈ロ〉、〈ハ〉、〈ニ〉の各項で主張と同趣旨であるから右援用する。

13 五七枚目裏一行目(昭和四七年分)について同五八枚目表一行目「ところで、……被告主張金額を正当と認める。」この項に於いて原判決は原告主張の電気・上下水道・電話の各料金について家事用、事業用共用部分の使用料の外に事業専用の使用部分又は、負担部分がある、この事実は昭和五六年一〇月三日付控訴人準備書面二〇枚目表一一行目より二三枚目表一三行目まで、「二、〈1〉、〈イ〉、〈ロ〉、〈ハ〉、〈ニ〉同三〇枚目「昭和四七年分営業所得の必要経費明細表」に記載の事項については、極めて 昧でその事実を確認する理由の適示に欠けた判断を遺脱し理由齟齬の違法がある。

14 五八枚目表一一行目「〈イ〉自動車燃料費」について。

昭和五六年一〇月三日付控訴人準備書面二三枚裏一行目〈2〉より同二五枚目表九行目迄に於いて主張の如くであるが右事実について其の判断をせず、被上告人らの主張にかゝる「出光クレジツト」以外に上告人が取引ができないと断言した事実は被上告人らの違法である。根拠の無い右主張を容認した判断も理由齟齬がある。要するに自動車燃料即ちガソリンの給油は全国ガソリンスタンド営業中に於いて、現金で給油が出来これを拒む右ガソリンスタンドがないことは社会経験法則で明らかである、右事実を原判決は隠蔽した違法がある。因みに甲第三八号証の二により鳥居石油店の現金給油がある事実についても、被上告人らは此れを否定し判決も此れを否定しその理由については遺脱されている。

15 五八枚目裏四行目「(ウ)贈答費」について上告人の主張に対しその判断は極めて曖昧で、其の贈答事実があり否定する証拠は皆無であるのに、其の証拠の無い主張が正当であると認定判決説示は判断遺脱理由齟齬の違法がある。右主張については、昭和五六年一〇月三日付控訴人準備書面二五枚目表一〇行目〈3〉「同項(ウ)の贈答費について。……」より同二六枚目裏一二行目迄に詳説の通りである。

16 五八枚目裏九行目「(エ)減価償却費」については、

昭和五六年一〇月三日付控訴人準備書面二六枚目裏一三行目「〈4〉」に記載の通りで此れを援用する。

被告らの主張は何等証拠に依らざる主張でその信 性はない。小型乗用車の取得価額については前掲主張の通りで被上告人らが主張する、乙第三六号証のトヨタカローラ名古屋株式会社より取得したものではなく、上告人の取得先は、トヨタパブリカ名古屋(株)より四三万円で購入したものである(甲第四四号証)

又カークーラーについてその事業用に供された事が認められないと説示しているが、此の説示には著しい矛盾がある。そもそもカークーラーは自動車に取り付ける物で、右小型乗用自動車を事業用に認定し、又其のガソリン・オイルも事業用に認定している、其の自動車の設備機器であるカークーラーが何故事業用から除外されるかに重大な疑問が発生する慣習法によるも自動車に設備されたカークーラーは自動車を使用する場合一体となつて使用されること明白である。事務所用クーラー(サンヨーエヤコン)については、此れを事業用に認め、自動車用のクーラーについては事業用に認められないと言う著しく矛盾した判断の理由齟齬がある。

17 六〇枚目表九行目「(オ)調査費」について前掲被上告人の違法行為の項に主張の通りで、其の費用の仕出の事実で証明十分であるが、原判決は、上告人の調査費について、上告人の主張を否定する何等の証拠を示さず認定している。又上告人が調査の為めに出張の目的と事実があるにも拘らず、この事実についても何等証拠を示さず否定した事実は判断遺脱と理由齟齬の違法に該当する。

右調査の趣旨は昭和五六年一〇月三日付控訴人準備書面二八枚目六行目「〈6〉」の項に反論の通り援用する。

18 六〇枚目裏二行目と三行目の間に加えられた「(キ)公租公課について」は本項の前「10、の〈イ〉、〈ロ〉、〈ハ〉、〈ニ〉の各項で主張と同趣旨であるから右援用する。

19 六〇枚目裏三行目(カ)を訂正した「(ク)事業専従者控除額」につき、中古住宅の売買、分譲土地について清掃・除草・整地の軽作業従事に支払つた手間賃であつて、その物件の対象は判決書添付の別表九「項目1、の(1)、(2)」の建物と同表(3)、(4)、(5)、(6)の土地について同年中になした、サービス工事代金が一七万円を要した。右サービス工事は、土地建物の売買についての奉仕作業である、この事実は慣習法・経験法則上明らかなことである。此の事実について其の必要がないとの判断は事実を無視した判断違脱である。

20 六〇枚目裏八行目「(三)台風による被害額及び応急復旧費について、事実を隠蔽し、被上告人らの違法行為を正当化するため、判断を故意に遺脱させた違法である。右事実については、前掲「第三点、一、(五)」記載及び昭和五六年一〇月三日付控訴人準備書面三一枚目表二行目「一二」に於いて主張の通りである。

21 六一枚目表一〇行目と一一行目の間に加えられた「(四)したがつて控訴人の……二〇九万九〇七一円が正当と認められる。」右判決の認定があるが、前掲の上告人主張によると、

右昭和四七年度営業所得は、一四九万〇九六三円となる。(昭和五六年一〇月三日付控訴人準備書面三二枚目表、「各年分の取得税についての主張」を援用する。)右の如く判断に遺脱がある。

22 六一枚目裏七行目から九行目迄を改正した「四」については、昭和五六年一〇月三日付控訴人準備書面三二枚目の表「各年分の所得税についての主張」に於いて記載の如く、昭和四五年分三万円、同四六年分四三三六円、同四七年分三万円を還付されなければならない。

右判断の遺脱がある。

23 六二枚目表五行目「第四損害賠償請求」の当否について、被上告人らの本件更正処分が違法であることは、前掲各証拠及び上告人の主張を詳細に各部の一つ一つについて合理的意思の探究により審査するならば、被上告人らが本来

造の目的であつたかは十分認められる。被上告人らに其の意思が無いとしても、その代理人らと昭和税務署担当係官らが個人的に為した行為であつても其れが所得税課税調査と言う公務であれば当然、その責は、国又は所属団体の長が負わなければならない。

仮りに、更正処分の金額のみに於いて適当金額であつたとしても、その処分全部が適法とはならない、従来被上告人昭和税務署長がなした処分の趣旨及び、課税方法について変更があれば、その処分も変更されたと言うべきで、原処分が訴訟経過の過程に於いて変更され、新らたな過程の処分が適法であつたとしても原処分の違法行為が無くなる理由はない。即ち原処分を撤回し新らたな処分方法を主張すること事態に於いて、被上告人らが原処分の違法を自認自白したと見做すべきである。又被上告人らの右 造のための所得調査を受ければ、上告人の信用問題に於いて営業取引に際し多大の支障と被害のあることは必然で慣習法により明白である。

ましてや被上告人らの代理人らが、上告人の所得調査を前提としてその調査対象に取引相手方にそれぞれ事情聴取をなした場合は著しく其の信用度を失堕することは当然で、この事実については何ら証明を要する事案ではなく、調査と聴取の事実があつたこと、其の内容が虚偽にわたる事実で証明十分である。

24 守秘義務違反については、前掲主張の如く上告人の主張を、「原告が〈ロ〉物件を他に売却した価額である」と転稼している。即ち本件の場合〈ロ〉物件を他に売却した価額と言えば、其の売却人が上告人であることは、其の当事者である宇佐美が知らないはずもなく〈イ〉、〈ロ〉物件の交換名義が上告人でないにしても現実は上告人と宇佐美と加藤は当事者である事実に変りはない。依つて右の原審控訴判決は、事実を故意に歪曲した違法があり此の説示は明らかに故意である。右故意性については、右事実を転稼したことで証明十分である。

25 昭和税務署調査係官ら及び本件被告・被控訴人訴訟代理人らの行為により、その主張事実及び証拠収集の名目により捏造された違法な証拠又は、事実を追究するための目的を逸した本来の真実を省略した証拠収集方法の事実によりその捏造意思と看做され右捏造と事実に反する被上告人らの主張は、本件の正当化を目的とする主張である以上、その主張が現実に正当でなければ、それは報復行為と看做し且つ報復意図であると理解するのが正当で仮に被上告人ら及びその代理人らに右報復意図がないとするならば、前掲の如く虚構の捏造主張をする筈がなく、又事実を歪曲する筈もない。右事実について判断の遺脱がある。

第六点

第一、第一点乃至第五点について事実と違法齟齬関係を具体的に述べた、右主張が事実誤認を主張するものでなく判決に影響を及ぼす判断の遺脱と其の理由が明確でなく、曖昧で且つ理由に著しい齟齬がある。右事由を、第一点より第五点に亘り述べたもので次に其の事実と結論について述べる。

一、民事訴訟法二五九条濫用の違法と同一八五条違背。

昭和五七年三月二日付控訴人証拠申出書により、人証として横山静人証の申出をしたところ、控訴審に於いては右証拠の取調べがなかつた事実は、右証拠は却下されたものと看做される。右人証によつて証明する事実は、同申出書記載の如く、本件に於ける被上告人らの事実隠蔽と捏造、上告人の名誉毀損及び違法な調査と、従来上告人の主張した、営業・不動産所得の各必要経費の発生の事実、証人渡辺隆夫に相反する事実等を証するもので、本件に於いては、その判断に影響を及ぼす唯一の証拠である、しかし右証拠の採用を却下して為された控訴判決は証拠の選択採用について「本件全証拠によるも認められない。」と上告人の主張を否認している。この場合前掲人証を採用されていたならば、右全証拠について、補充証拠となり判決の証拠援用について重大な影響を及ぼすこと明白である。(横山静は被上告人指定代理人である)

右証拠の採否について、取調べの必要なしとする場合はすでに他の証拠により上告人主張事実は証明されていると認められた場合に於いてのみ、右証拠の不採用とされるべきで、本件判決によると、上告人主張事実を全証拠によるも認められないとの説示は、右証拠を取調べることにより被上告人及び代理人らの事実隠蔽捏造・報復意図の事実が明白になることを知りながら、敢えて右証拠を取り調べなかつた控訴判決裁判官らに事実隠蔽の為の違法による証拠不採用がある。依つて民事訴訟法二五九条の濫用による違法である。同法一八五条の自由心証主義にも違反する。

二、不動産所得・営業所得の必要経費とする公租公課の採否の矛盾について。

訂正された判決四九枚目表一行目以降の判示によると、水野一男使用分の土地は、その三分の一を必要経費として認めない其の理由は水野一男は無償で不動所得が発生しないから必要経費も発生しないとの論理である。右論理を引用すると、判決「別表四の附表1」昭和四五年分玉置六郎、秋田寿男の同年一月より一〇月迄「同別表四の2」昭和四六年分の東京昆布海藻(株)・林宇多子は同年四月より一二月迄伊藤英俊同年一月より三月まで、同附表3の昭和四七年分の永田輝見は同年八月より一二月迄同未日聖徒イエスキリスト教会同年一月より九月迄、同遠山秋雄・加藤房太郎同年一月より二月迄の、それぞれ右の期間の賃料支払いが無い事実を認定していること明白である。

そこで前掲水野一男の説示を引用すると、右の賃料の発生しない期間に於いては当然必要経費も発生しないことになり、公租公課についても、右所得の発生しない期間に於いては公租公課の支出は、右必要経費として認められないと言うことになるが、しかし実際は、右所得の発生しない期間に於いても、其の公租公課は必要経費として認定され何ら控除されていない事実は判決別表三、五、により明白である。又前趣旨に沿う遠山秋雄・加藤房太郎の公租公課については、其の一二分の二(一月より二月迄)相当額の公租公課を必要経費より除外する認定をなしている。此のように原・控訴判決は、その趣旨に於いて著しい適用の齟齬がある。

三、判決別表一〇の(2)の土地には同表(10)、(11)の建物と甲第一四号証、甲第四五号証の二の倉庫(作業用資材)が建築されている(尤も右倉庫の存在については判断を遺脱している)しかし倉庫については原判決は事業用に使用されたと認められない理由で上告人主張を否定している。そうすると、右倉庫の敷地についても前掲趣旨により敷地相当分の公租公課は必要経費より除外されなければならない、しかし判決別表五の「番号「1」の物件については全く公租公課の一部控除した事実は存しない。此のように所得の発生しない部分の公租公課についても、其の必要経費は容認している事実は明らかである。このように同一趣旨の事案について一方に於いて、此れを否認するが如き判決説示は、将に理由齟齬と自由心証主義に反する判決である。

四、判決別表一〇の(1)の土地に同表(8)、(9)の建物がありこの使用状況は、上告人の事務所と車庫、上告人の住居、訴外水野芳郎住居(甲第五七号証の用に供されているが、前掲説示を援用する)と水野一男の場合は、その使用範囲が明確でないのに三分の一と認定している此の認定の根拠は全く存せず単なる主張に過ぎず事実は、その建物配置及びその使用区域は明確である。しかし本件に於いては、その使用範囲を争うものでなく、全体を不動産所得の対象として、上告人は主張するもので、此れを被上告人らは敢えて分割しようと捏造した詭弁により右曖昧な分割方法を捏造したものである。右分割が明らかでない場合は、被上告人らの従来の主張に沿う必要経費と算入しない旨主張すべきであるが、被上告人らは、その従来の主張に自信がないので右曖昧主張に止まつたに過ぎない。又判決もそれにならつて曖昧齟齬な説示は、同一事案に対する矛盾となり、その事実隠蔽に馬脚を顕した。右事務所・車庫・上告人住居・訴外水野芳郎の各使用範囲は、昭和五四年一月二七日付原告準備書面第六、一〇枚目訂正別表Ⅰに記載の通り、その区分面積も明らかである。

右の如く、上告人の主張について判断を遺脱されている。依つてその説示は、右上告人主張を無視している。故に原・控訴判決は、右公租公課を必要経費と認めない説示については、不動産所得及び営業所得のいずれにも容認された事実は無い、特に営業所得の必要経費に、右公租公課を右事由による採否の差別については、全く其の判断と説示が遺脱している。

五、本件提出証拠の信 性について。

上告人提出の、各甲号証については、総べて本件訴訟提起前に作成されていたものである。但し甲第一四号証添付の証明書は、昭和税務署作藤昭三の指導によつて作成したものであるが被上告人昭和税務署員の指導に依り、上告人にわざわざ証明書を作成させ、この証明書が事後成作であると非難している事実は明らかに上告人を陥れる目的である。右証明書の必要性は被上告人の指導によつたもので、被上告人は自ら指示し、その証明書作成方法を非難する極めて卑劣な行為である。

そもそも甲第一四号証の高木・本多らが事実を見分していないとの主張・説示であるが、被上告人昭和税務署長係官佐藤昭三が、特に其の土地の民政委員又は町内会長と限定して証明を求めたので、右佐藤の要求に応じたまでであつて勿論、右高木・本多らに本件台風被害の実状を直接知るところではない。即ち風聞によるもので、上告人がわざわざ 造を目的に、右高木らに証明を求めた如く主張する被上告人らに、上告人を陥れる計画性が明白である。若し被上告人らが正義と真実を求める意思が存するならば、右高木・本多らの証明が不十分であるとするならば、台風被害に直接従事者の証明を求めるべきである。前掲の如く、被上告人昭和税務署長は、其の台風被害状況について、其の証明方法を指導し、その指導によつて作成された右証明書(甲第一四号証)を非難する卑劣な所為を正当と採用した(原判決書六〇枚目裏一一行目)判決説示は、判断の自由心証主義に違背する事実と、それに伴う判断遺脱理由齟齬がある。

其の余の甲号証は、すべて本件訴訟を目的として成作された証拠でないことは、その作成過程で明白である。

此れに比較して、被上告人らの証拠はすべて、本件更正処分、不服審判後に作成されたものであつて、其の成作の意図は総べて原更正処分を正当化するための意図で成作された事実は、その作成日付と内容を検討すれば一目して判断できる、即ち理由がすべて一方的で上告人に対する事実追究の目的として成作された事実が全く存しない、事実又は更正処分に適当でない証拠資料はすべて被上告人らの判断により隠蔽されたものである。

右の事実を発見するためには、正義と勇気によつて民事訴訟法一八五条の趣旨を正面より受け止め証拠の選択が必要である、然し右同法の趣旨を無視した違背がある。

六、前掲の理由により乙号証は、その証拠価値は全く存しない即ち各乙号証は、総べて被上告人らの権力による主張の一部であり本件の事実隠蔽と捏造のために作られた証拠である。この事実について判断が遺脱している。

又本件の営業・不動産関連について其の契約の内容に介入した事実は、個人のプライバシーの侵害・営業妨害となり憲法の規定する人権の侵害でもある。税務上の調査は、其の税務上必要な収入金額に限定されるもので、其の収入の性質又は契約の内容には介入してはならない憲法違背がある。

依つて本件の被上告人らのなした調査及び主張は、右の如く、上告人の人格と信用を毀損する目的、即ち報復意図により成作された乙各号証である。仮りに右意図が無いとしても結果的には、上告人に対する右の如く違法な所為となる。

七、上告人の主張事項に対する判断遺脱の違法がある。

訴状請求原因「一、〈イ〉、〈ロ〉、〈ハ〉」の主張について、被上告人らは何等反論はないが、その原因となる。甲第四、五、六、七、八、九号証の各決定その内容の違法についての判断を脱漏した(民事訴訟法一九五条)の法令違反がある。

被上告人らは右反論の変わりに新らたな 造により主張を転稼し事実関係を複雑且つ混乱させた。又本件判決も右被上告人らの転稼した反論に便乗し本来の右上告人の主張を忘却しその判断を脱漏した違法が明白である。

八、被上告人らの事実隠蔽、守秘義務違反について最大の当事者である昭和税務署長竹田正礼・同係官中村徹二・同係官市川修市らの事実釈明聴取書の提出が無い事実をもつて、被上告人らの事実隠蔽が明白である。又被上告人らの証人井上昇・渡辺隆夫の供述は、すべて伝聞についての供述で事実についての信憑性が全く存しない。右事項を追加する。

九、不動産所得の必要経費について。昭和税務署長竹田正礼のとき昭和四四年分以前については、上告人主張の必要経費を容認したため不動産所得に対する課税はなかつたが、右署長更迭により高橋務となり俄かに、右不動産所得の必要経費を否認し、新らたにその必要経費を捏造し右課税について更正処分をなした事実は、前掲報復行為である。右主張事実についても判断遺脱がある。

一〇、前掲主張並に証拠で明らかな如く、被上告人らが本訴に及び俄かに新らたな営業所得又は不動産所得を 造した事実について慰藉料請求を為すものである。右請求は被上告人らの更正処分の合否によつて左右されるものではなく、右被上告人らの前記更正処分以外の新らたな所得の主張に誤りがある事実で右慰藉料の対象となるとの主張について判断の遺脱がある。

一一、前掲第二点より第六点に於いての主張は、事実誤認を言うものでなく、原審及び訂正付加の控訴判決の認定説示の判断の違法を言うもので、全く正義と合理性に欠けた判断を言うものである。

第二、前掲第一点乃至第五点及び前各項の主張について、憲法及び各法令違背の適用条文を左に挙げる。

一、第一点について。

民事訴訟法一八七条一、二項、三九五条一項五号

二、第二点について。

憲法一一条、一三条、一四条、七六条、九七条、九九条、国家公務員法一〇〇条一項、所得税法二三四条、二四三条、三七条一項民事訴訟法一八五条、三九五条一項六号、

三、第三点について。

憲法一一条、一三条、一四条、九七条、九九条、所得税法三七条一項、民事訴訟法一八五条、三九五条一項六号、

四、第四点について。

憲法一一条、一四条、一七条、七六条、九九条、所得税法三七条一項、二四三条、民事訴訟法一八五条、三九五条一項六号

五、第五点について。

憲法一一条、一四条、一七条、七六条、九九条、所得税法三七条一項、二三四条二項、二四三条、民事訴訟法一八五条、三二三条、三九五条一項六号、

六、第六点について。

民事訴訟法一八五条、一九五条、二五九条、三九五条一項六号、

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